八条学園騒動記
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第五百七十八話 文化祭前夜その六
「いつも草原で暮らしている」
「そんな風だからなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「野生児だよ」
「野生児っていったら」
ナンはクミズを飲みつつこんなことを言った。
「ブラジルのジャングル、アマゾンでね」
「暮してるんだね」
「そんな人を思うけれど」
「特撮ヒーローでいるね」
「アマゾンの猛獣達にも勝てる」
星によるがアマゾンと呼ばれるジャングル地帯はそうした猛獣が大量に潜んでいるのだ。それも河にもだ。
「そんな人がね」
「野生児なんだ」
「私としては」
「いや、それ極端だし」
マルコはナンにこう返した。
「それにね」
「それに?」
「モンゴルってそうしたヒーローいるよね」
「特撮ヒーローね」
「草原で悪と戦うヒーローいるでしょ」
「いるわよ、草原を乱す悪の組織を守る青年がね」
その彼がというのだ。
「青き狼と白き雌鹿の力を受けて変身するのよ」
「狼と鹿なんだ」
「そうなの、あとチンギス=ハーン様が悪人達を成敗する時代劇もあるわよ」
そうした作品もあるというのだ。
「それでそのヒーローは狼の力を鹿の力を使ってね」
「馬に乗って戦うんだね」
「そう、神の馬に乗ってね」
そうしてというのだ。
「戦うの」
「何か面白そうだね」
「実際に面白いわよ、ヒロインもいてね」
「ヒロインは欠かせないね」
「ちなみにヒロインも変身するから」
そうなるというのだ。
「やっぱり青き狼と白き雌鹿の力を受けて」
「変身するんだ」
「そうなの、シリーズ化してるし」
一作だけでなくというのだ。
「私前作毎回観てるわ」
「今もかな」
「ええ、子供の頃からね」
そうしているというのだ。
「今もね」
「そうなんだね」
「後ね」
「後?」
「モンゴルの時代劇とか特撮は」
ナンは自国のそれの話もした。
「撮影楽らしいのよ」
「あれだな、草原に出れば」
「そう、普通にね」
それでとだ、洪童にも返した。
「撮影出来るから」
「楽か」
「何しろ街はあってもね」
「すぐに草原に行けるか」
「そう、そこにいる人も結構多いから」
草原にいるつまり遊牧民の者がいてというのだ。
「その人達のところに行って」
「それで撮影か」
「それが出来るから」
だからだというのだ。
「撮影楽なのよ、草原だからアトラクション必要ないし」
「それが一番楽そうだな」
「しかもモンゴル人ならね」
ナンは祖国のことをさらに話した。
「学校の授業で乗馬あるから」
「体育の授業じゃないのか」
「体育の授業はあるけれど」
それと共にというのだ。
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