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八条学園騒動記

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第五百七十八話 文化祭前夜その四

「農業も工業もね」
「やっているか」
「そんな国になったわ」
「全員遊牧民じゃないんだな」
「今のモンゴルはね」
「随分変わったな」
「昔ながらの遊牧で暮らしている人も多いけれど」
 それでもというのだ。
「そうした近代の暮らしもね」
「定着しているんだな」
「ええ、いいか悪いか別にして」  
 そうしたことは抜きにしてというのだ。
「そうなったわ」
「時代の変化だね」
 マルコはナンのその話を聞いて言った。
「まさに」
「ええ、それはね」
「仕方ないね」
「二十世紀からね」 
 人類社会が急激に工業化、科学化した世紀である。二十世紀はこの時代ではそうした世紀だと定義されている。
「モンゴルが独立して」
「それでだね」
「近代国家となってから」
「そうなっていったんだ」
「そう、それでね」
 今はというのだ。
「そうしたモンゴル人も増えたのよ」
「そうなっているんだ」
「もう生粋の遊牧民という人もね」
「かなり減ったんだ」
「街で暮らしていて」
 それでというのだ。
「工場で働いていたり農業に勤しむ」
「そうしたモンゴル人もいるんだ」
「多いわよ」
「そうなっているんだね」
「私のお家は違うけれど」
「遊牧ばかりの国じゃないことは」
「覚えておいてね」
 この時代でもモンゴルというと遊牧のイメージが強いがというのだ。
「チンギス=ハーン様のモンゴルじゃないのよ」
「世界を席巻した騎馬民族じゃないんだね」
「そうした国になったわ、ただのどかさなら」
 このことについてはというと。
「連合一かもね」
「連合は騒がしい国が多いしな」
 洪童がまた言ってきた。
「何かと」
「そうした国が圧倒的主流ね」
「俺の国も含めてな、飲む時も」
 日本酒を今も飲んでいる、そうしながらの言葉だ。
「騒がしいしな」
「メキシコにしてもね」
 マルコも言ってきた。
「明るい国民性で」
「それでだな」
「そう、本当にね」
「飲む時も騒がしいな」
「そうしたお国柄だね」
「連合のほとんどの国がそうだけれどね」
 ナンはクミズから今度はウイスキーを飲んでいる、そうしながら二人に話した。今も静かな飲み方である。
「モンゴルはそうした国でね」
「飲み方もか」
「穏やかなんだ」
「物凄く飲むけれど」
 それでもというのだ。
「賑やかに飲むより」
「静かに飲むか」
「そうしているわ」
「成程な、しかしな」
 洪童はするめを噛みつつ言った。 
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