八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百七十七話 深酒その十一
「それでトラ箱に放り込むのよ」
「他の国だと問題になるわよね」
「一般市民ぶん殴ったらね」
「ロシアだといいの」
「酔っ払い限定でね」
この場合はいいというのだ。
「相手は暴れるから」
「それでなの」
「最悪麻酔銃撃ってもね」
「怖い国ね」
「流石に頭からお水かけて放り出すことはしないけれど」
「ロシアでそんなことしたら」
寒いことが代名詞になっている様な国でというのだ、ロシアは寒い星ばかりであることでも有名であるのだ。
「絶対に凍死するでしょ」
「だからそうしたことはしないけれど」
それでもというのだ。
「酔っ払いを殴ることはね」
「普通なのね」
「むしろ酔っ払い同士の喧嘩が常で」
ロシア人はよく飲む、そして酔うと人間何をするかわからなくなる。喧嘩も必然的に増えるということだ。
「そこでの殴り合いの方がね」
「凄いのね」
「お店の椅子が飛んで」
居酒屋のそれがというのだ。
「ウォッカの瓶で殴るとか」
「多いのね」
「もうそれがロシアの日常だから」
「飲み過ぎでしょ」
「寒いから飲むから」
地球の頃からのロシアの伝統である。
「大統領も朝から飲む人ばかりだし」
「国家元首自ら飲むのね」
「会議の場所でもお水じゃなくてね」
「お茶でもないのね」
「ウォッカ出るから」
「せめてワインでしょ」
ペリーヌはアンネットの今の話に呆れた顔で返した。
「会議の場でも」
「エウロパじゃそうみたいね」
「あっちの映画じゃ普通にね」
「会議の時にワイン出てるわね」
「それで飲んでるけれど」
これは舞台がこの時代でも昔でも同じである。
「ロシアだとウォッカなの」
「若し飲むなって言ったら」
そうした人間はというと。
「顰蹙受けるから」
「それで失脚した政治家さんいるのよね」
「ソ連が倒れたのはね」
二十世紀に存在したこの国の名前も出た。
「お酒飲むことを制限したからって言われてるのよ」
「他の国だと常識でも」
「ロシアだとね」
「そうじゃないのね」
「そう、普通にね」
それこそというのだ。
「市民の支持暴落するから」
「朝から飲むなとか言ったら」
「それでその人の政治生命終わりよ」
「それも凄いわね」
「だから会議でもね」
「お茶じゃなくてウォッカね」
「それ飲みながらやるのよ」
会議をというのだ。
「そうしたお国柄ってことよ」
「それこそロシアね」
「だから高校生も学校でお茶じゃなくてね」
「お酒持って行くのね」
「まあ中学生でウォッカは制限されるけれど」
「強過ぎるから」
「そう、最初はアルコール度の低いお酒からはじめて」
ビールやカクテル等からだ、流石のロシア人もいきなりウォッカから飲みはじめる様なことはしない。
ページ上へ戻る