八条学園騒動記
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第五百七十七話 深酒その七
「お肉が腐ったみたいな」
「そうした匂いだったの」
「元々の体臭がそうでね」
「しかもお風呂に入らないから」
「余計に臭くて尚且つ大蒜料理が好きで」
「最終兵器みたいな感じね」
「中々近寄れなかったらしいわ」
そこまでの体臭だったという、その為王妃や愛人は彼と床を共にする時身体中に香水をかけその香りで王の体臭に対したという。
「どうもね」
「それは凄いわね」
「あとルイ十四世も」
「贅沢と戦争ばかりのあの王様ね」
連合ではこの王はこう教えられているのだ。
「ふざけた王様よね」
「そのふざけた王様もね」
アンネットもこの王への連合での評価を否定せずに言う。
「体臭凄かったらしいのよ」
「お風呂に入らないから」
「そのことに加えて」
「元々とか?」
「この人歯がなかったのよ」
「歯が?」
「とんでもない藪医者がいて」
これは本当の話である。
「歯が万病の元って言い出したのよ」
「そのお医者さん頭大丈夫?」
ペリーヌはそこから本気で疑った。
「歯がとか」
「おかしいわよね」
「どういう理論よ」
「そこはわからないけれどそう言い出して王様が本当かってなって」
「歯を抜かせたの」
「全部麻酔なしでね」
「それは痛そうね」
事実ルイ十四世は王の威厳にかけて激痛と戦ったという。
「トラウマものよ」
「それで抜いた後を焼きゴテで埋めて」
「それも痛そうね」
「底で手術の失敗で顎とお鼻がつながったらしくて」
「歴史に残る藪医者ね」
手術も失敗したと聞いてペリーヌは心底呆れた。
「それはまた」
「それで歯磨き出来ないしお鼻にも食べ残しとかがいって」
「お口臭かったでしょうね」
「相当柔らかいものしか食べられなくなって口臭も酷くなって」
その為王の傍にいる者達は苦労したという。
「噛めなくなって食べたものがそのまま胃に入るから消化不良になって」
「お腹の調子も悪くなったのね」
「それでしょっちゅうね」
「ああ、そうなったのね」
ペリーヌはこれでわかった、粗相が常になったことを。
「だから体臭酷くなったの」
「そうみたいよ」
「それはまた災難ね」
「ふざけた王様でもね」
「本当に凄い藪医者ね」
「そうよね、ルイ十四世は藪医者のせいでもアンリ四世の体臭はね」
「お風呂で殆どなくなっていたわね」
ペリーヌもこう察した。
「それなら」
「そう思うわ、だからね」
「シャワーよりもなのね」
「お風呂の方がいいのよ」
体臭を何とかしたいならというのだ。
「やっぱりね」
「あんたお風呂派ね、そういえば」
「それもサウナ派でしょ」
「あれば絶対に入るわね、サウナ」
「もうあるとね」
それこそとだ、アンネットはペリーヌに答えた。
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