オズのケーキ
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第十幕その九
「ロシアだけでなく北欧の人達もですが」
「あまりにも寒いから」
「お顔を動かしにくくて」
そうした環境だからだというのです。
「どうしてもです」
「表情があまりなくなるのね」
「はい、ですがちゃんと感情はあります」
人間としてのそれはあるというのです。
「お顔に出ないだけで」
「それで表情がないともですね」
「それだけでね」
「私はそうした娘ですか」
「私もそう思うわ」
「無欲ですか」
「とてもね」
そうした娘だというのです。
「いいことだと思うわ」
「ほっほっほ、わしは欲張りであるな」
リンキティンク王はご自身のことは笑ってお話しました。
「随分と」
「遊びや甘いもの大好きですからね」
「歌にも踊りにもな」
「どれにも目がないですね」
「だからのう」
その為にというのです。
「わしは自分で言うぞ」
「欲張りだと」
「左様じゃ」
まさにというのです。
「オズの国でも屈指の欲張りであるのう」
「そこまでとは思わないですが」
「そうなのか」
「はい、昔のラゲド―王と比べれば」
先日この国にふらりと来たこの人と、というのです。
「全くです」
「欲はないか」
「そう思います」
王子としてはというのです。
「本当に」
「そうなのか」
「別にオズの国の全部を手に入れようとか思われなかったですね」
「わしはそうしたことには全く興味がないぞ」
「遊んで歌って踊ってですよね」
「甘いものを飲んで食べてじゃ」
そうしたことをしてというのです。
「楽しむだけじゃ」
「それならです」
「昔のラゲドー王と比べればか」
「全く欲がないですよ」
「そうなのか」
「そう思いますよ」
王子としてはというのです。
「強欲でも貪欲でもないです」
「オズの国には殆どない言葉であるな」
「ですね、確かに」
王子が見てもです。
「こうした言葉は」
「それを言うとオズの国は欲深い者は少ないか」
「それもかなりですね」
強欲や貪欲という言葉が多いということはそれだけそうした心を持つ人が多い、このことからの言葉です。
「そうですね」
「よいことであるかのう」
「そう思います」
「オズの国はいつも満ち足りていますから」
それでとです、ケーキは二人にお話しました。
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