オズのケーキ
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第十幕その八
「今もです」
「ロシアンティーね」
「そうします」
こう言ってでした。
皆でおやつとなりましたがナターシャの飲みものはロシアンティーでした、それを苺と生クリームのケーキと一緒に楽しんでいます。
そしてです、ナターシャはケーキを食べてから紅茶を飲んで言いました。
「こうして紅茶を飲んでいるとそれだけで」
「幸せだね」
「そうなります」
王子の質問ににこりとした返事で返しました。
「本当に」
「それは何よりだね」
「甘いものと紅茶があれば」
「君は幸せなんだね」
「そうなります」
「前から思っていたけれど」
ここで王子はナターシャにこうも言いました。
「君は随分無欲だね」
「そうですか?」
「うん、五人の子達の中でも特にね」
オズの名誉市民である五人の中でもというのです。
「そう思うよ」
「そうでしょうか」
「実際ナターシャって無欲よね」
「そうだよね」
「いつもこれで充分ってね」
「貰えるものもあまり欲しがらなくて」
恵梨香達四人も言います、恵梨香はモンブランのケーキとミルクティー、ジョージは林檎のケーキとレモンティー、神宝はキーウィのケーキにストレートティー、カルロスは抹茶のケーキにコーヒーという組み合わせです。見ればリキンティンク王と王子は先程自分で言ったケーキにコーヒーです、ケーキはチェリーのタルトにアップルティーです。
「いつもだよね」
「欲ないよね」
「王子の言われる通りにね」
「欲しがることもないし」
「ロシアにいると」
ナターシャはお国のことからお話しました。
「どうもね」
「無欲になるの」
「そうなんだ」
「ロシアにいたら」
「そうなるんだ」
「ロシア人って無欲みたいだから」
だからだというのです。
「私も無欲なのかしら」
「ロシア人って親切でね」
「それで素朴って言われるね」
「そこに無欲で」
「そうした人達っていうけれど」
「私は自分ではそうは思わないけれど」
無欲でも素朴でも親切でもないというのです。
「そうなのかしら」
「確かに五人で一番素朴なのう」
リンキティンク王はチョコレートケーキを食べながら言いました。
「ナターシャ嬢は」
「そうなんですか」
「うむ、着ている服は可愛いが」
いつも着ている黒のゴスロリファッションはというのです。
「性格は素朴でのう」
「クールな感じでも皆のリーダー役でいつも親切で」
王子もティラミスを食べつつ言います。
「僕もナターシャ嬢はそうした娘だと思うよ」
「そうですか」
「とてもね」
「それで無欲ですか」
「そう思うよ」
「私は自分では冷たいと思っていましたけれど」
「表情があまりないだけじゃないかな」
王子が見るにです。
「ただね」
「確かロシアは寒いのよね」
ケーキはナターシャの国のことからお話します。
「雪と氷の場所みたいに」
「はい、とても」
実際にとです、ナターシャはケーキに答えました。
「そうです」
「寒いと表情も凍るのよね」
「実は」
その通りだとです、ナターシャはまた答えました。
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