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夢幻水滸伝

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第百四十五話 勝ち取ったものその十二

「全部ちゃんとしてくれるから」
「そう言って頂けますか」
「実際やし、その力覇権握ったらな」
「太平洋とアフリカの大部分、北極上空、地下世界にもですね」
「ちゃんとした警察築いて」
「治安のことをですね」
「頼むで」
「承知しました」
 喜久子は綾乃に畏まって応えた。
「それでは」
「戦が終わったらな」
「必ずや全土に万全の治安を敷きます」
「やっぱりちゃんと人が暮らせる世の中やないとな」
「治安がよくなければ」
 どうかとだ、喜久子は綾乃に答えた。
「それだけで、です」
「あかんね」
「はい、民が常に賊に脅かされる様では」
「どうしようもないわ」
「しっかりとした法律と警察があってこそです」
 この二つがというのだ。
「民の暮らしは守られて」
「全てはそこからやね」
「そうです、ですから」
「喜久子ちゃんの力絶対に必要やから」
 それ故にというのだ。
「頑張ってもらうで」
「承知しました」
「そしてな」
 ここでだ、綾乃はこうも言った。
「警察は親しまれるもんでもないとな」
「上から目線の冷たい存在ではなく」
「子供やお年寄りの目線も持った」
「そうしたものでもないとですね」
「あかんやん、間違っても漫画とかライトノベルの風紀部みたいな」
「ああした冷たい組織にはですね」
「したらあかんね」
 こう喜久子に話すのだった。
「やっぱり」
「私もそう思います、法律の番人ですが」
「それと共に人やね」
「はい、感情のない存在ではありません」
 警官達、警察の中にいる彼等はというのだ。
「ですから」
「ちゃんとそうした目線も持った」
「そうした警官達によるです」
「親しまれると共にちゃんとお仕事もする」
「日本ではそうした警察にしているつもりですし」
「太平洋と地下世界でもやね」
「その様にさせて頂きます」
 喜久子は綾乃に確かな声で応えた、そうしてだった。
 アメリカとの戦を勝利で終え今は暫しの休息の時を摂っていた、だがそれがすぐに次の戦となることはもう自明の理のことであり誰もがそれを受け入れていた。


第百四十五話   完


                 2020・1・8 
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