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夢幻水滸伝

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第百四十五話 勝ち取ったものその十一

「安心はしていますが」
「略奪とか暴行とか」
「そういうこと許しませんから」
「いじめなんかもっての他やないですか」
「怠け者と外道はちゃいますさかい」
「そうですね、怠惰自体もよくないことですが」
 勤勉な喜久子から見ればそうである、キリスト教ではなく家は禅宗であるが怠惰は罪であると考えているのだ。
「しかし確かに人の道を踏み外すと」
「あきませんよね」
「賊みたいな真似とかしたら」
「弱い者いじめもそうですし」
「あとサイコ殺人なんかも」
「流石に最後はそうそうはないですね」
 サイコ殺人と聞いてだ、喜久子は述べた。
「むしろそれを行う様になれば」
「もう化けものとよ」
 美鈴が言ってきた。
「それはたい」
「そうなりますね」
「魔物やモンスター、獣でもなかとよ」
「まさに化けものですね」
「心がそうなっているとよ」
 例え人の身体を持っていてもだ。
「だからたい」
「その化けものは」
「そうそういたらたまったものではなかとよ」
「左様ですね」
「シリアルキラーとも言うたいが」
 今ではこの言葉がそうしたサイコ殺人を繰り返す輩に使われる様になっている、大抵は殺し方は惨たらしくかつ法則があったりする、そして殺す対象についても法則があったりするのである。勿論そうではない無秩序型も存在している。
「そんな奴等はたい」
「この世界でも存在しているにしても」
「そうそういたらたい」
「とんでもないことになりますね」
「喜久子ちゃんもそう思うとよ」
「私は日本の治安を預かる者です」
 喜久子は美鈴にこのことから話した。
「ですから」
「そうした奴はたいな」
「見付け次第です」
「出ない様にするのは難しかたいな」
「ああした化けものは乱れた世相の中で出やすい様ですが」
 例えば一次大戦後のワイマール体制下のドイツである、この時期のドイツはそうしたシリアルキラーが多く出たのだ。
「しかし」
「そうでなくてもたいな」
「出る時は出ます」
「そうたいな」
「ですから」
 それでというのだ。
「犠牲者を出来る限り少なく抑える為にも」
「そうした奴を探し出すたいな」
「それが重要であると考えています」
「その通りたいな、若しも」
「はい、彼等の跳梁跋扈を許せば」
「その地域は恐怖の坩堝に落ちるとよ」
「人が次々に惨たらしく殺されていく」
 喜久子は述べた。
「そうした状況の中にありますと」
「そうなるたいな」
「実際に切り裂きジャックの頃のロンドンがそうなりました」
 その為ビクトリア女王も動いた程だ、国家元首として首都に殺人鬼がいることを放置出来なくなっていたのだ。
「ですから」
「何としてもたいな」
「そうした犯人は捕まえます」
「そこは頼むとよ」
「お任せ下さい」
「警察のことは喜久子ちゃんがいてくれてほんま助かるわ」
 ここで綾乃は棟梁として笑って述べた、見れば胸が湯舟に風船の様に浮かんでいる。 
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