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夢幻水滸伝

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第百四十五話 勝ち取ったものその一

               第百四十五話  勝ち取ったもの
 日本とアメリカの戦は決着がつこうとしていた、アメリカ軍はもう組織立った戦闘は行えなくなっていて。
 星の者達も殆どが敗れていた、最早アメリカ軍の敗北が近いのは明らかだった。だがそれでもだった。
 純奈は二組の一騎打ち、空中で行われるそれを見て井伏に言った。
「いや、もう見事と言うしかなかとよ」
「そうじゃのう」
 井伏もその二組の一騎打ちを見つつ言う。
「中里さんも芥川さんものう」
「そしてトウェインさんとメルヴィルさんもたい」
「流石は神星じぇけえ」
「全く以てたい、しかし」
「しかし?」
「流石にそろそろたい」
 その一騎打ち、二組のそれを見ての言葉だ。
「決着がつくとよ」
「四人共体力も気力も限界じゃな」 
 山本も会話に入ってきて言ってきた。
「それでじゃな」
「そうたい、これまでずっと一騎打ちばしてきて」
 それでというのだ。
「もうたい」
「限界が近いけえ」
「そろそろ終わるたい」
「そうじゃのう」
「終わることは確かたいが」
 ここで純奈はこうも言った。
「一歩間違えると」
「その時はのう」
 井伏は純奈に応えて話した。
「もうじゃ」
「中里さんも芥川さんも負けかねんとよ」
「そうなるのう」
「だから油断出来んたい」
「お二人共」
「そうたい、一瞬の油断や判断違いが」 
 そういったものがというのだ。
「まさにたい」
「負けにつながるわ」
「そうなるとよ」
「そうじゃのう」
「さて、相性を見ての一騎打ちにしても」
 山本は芥川が念頭に置いているこの要素の差もした。
「それでもじゃのう」
「相性は確かに大きな要素だけれどね」
 麻友も話に入ってきた。
「相性がいい相手にはやっぱり強いからね」
「そうじゃのう」
「そう、けれどなんだよ」
「絶対じゃないのう」
「相性の悪さも覆すことが出来るんだよ」
 麻友ははっきりとした声で述べた。
「それもね」
「そうじゃのう」
「だからね」
 麻友はさらに話した。
「中里さんも芥川さんも」
「絶対に勝てるとはじゃな」
「言えないね」
「そうじゃのう」
「ましてや」
 井伏がここでまた言った。
「トウェインさんもメルヴィルさんも頭はいいしのう」
「そうそう、そのこともあるからね」
「知力も武器の一つじゃけえ」
「機転を活かせばね」 
 それでというのだ。
「劣勢も覆せるよ」
「そうじゃのう」
「一瞬でもいいとよ」
 純奈は鋭い目で述べた。
「一瞬でも相性の悪さを退けられたら」
「そこからじゃな」
「その一瞬で勝負を賭けて」
 そしてというのだ。 
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