夢幻水滸伝
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第百四十四話 見えてきた勝利その十五
「一国の政を預かってますね」
「はい、日本の」
「ほなです」
「心配性、最悪の事態を常に想定してもですか」
「そこからどんどん手を打たれますね」
「それが私の政の執り方です」
「それもええかと」
今度は佐藤が言ってきた。
「国を治めるには」
「貴方もそう言われますか」
「はい、棟梁も中里さんも師匠も基本楽天的ですし」
「基本日本って楽天家多いですさかい」
香菜は日本の星の者全体の話もした。
「全員がそうやとバランス悪いです」
「宰相の太宰さんが最悪の事態考えてそこから最善の手を打たれるなら」
佐藤も言うことだった。
「それならです」
「ええと思います」
「そやからです」
「太宰さんはこのままでええかと」
「そうですか、実は」
太宰はさらに話した。
「若しお二人が一騎打ちで敗れても」
「その最悪の事態ですか」
「そうなっても」
「私には考えがあります」
「それは一体」
「どんなものですか」
「最早アメリカの確かな戦力はお二人だけ」
軍勢も他の星の者達も敗れていっている、それでそうなっていることは誰の目にも明らかだ。例え戦は苦手とする太宰でも。
「しかも満身創痍で体力も気力も限界です」
「そうならですね」
「もう倒せますね」
「残った力で総攻撃を仕掛け」
そしてというのだ。
「倒せます」
「そうなりますね」
「そやからですね」
「その際も考えています」
「流石宰相さんです」
「その時はすぐに」
「棟梁にお話します、我々が必ず勝つ為に」
太宰はこう言って佐藤兄妹と共に自分の軍勢を率いて戦っていった、最悪の事態もあえて考えながら。
第百四十四話 完
2020・1・1
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