八条学園騒動記
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第五百七十六話 準備万端整ってその六
「あちらは」
「そこが違うからね」
「伝統と宗教ならか」
「そう、本当に違うから」
元となるものがというのだ。
「それでなのよ」
「どうしてもか」
「そこは違っていて」
それでというのだ。
「厳しさもね」
「違うか」
「ちなみに他の宗教を勧誘したら」
ユダヤ教以外のそれをだ。
「国外追放よ」
「そうなるか」
「このことも法律で定められているから」
「本当に縛りが多い国だな」
「ええ、ユダヤ教徒じゃなくなったら」
その時はというと。
「市民じゃなくなるから」
「イスラエルのか」
「だから破門されるとね」
「イスラエル市民じゃなくなるか」
「そうなるのよ」
「そんな法律もあるのか」
「イスラエルにはね」
そうだというのだ。
「イスラエル市民はユダヤ教徒でないとならない」
「宗教国家だけあるな」
「だからそう定められていて」
それでというのだ。
「本当にね」
「そうなるか」
「そう、だから破門はね」
「かなり厳しい刑罰か」
「流石に滅多なことでされないけれど」
「されたら大変か」
「すぐに他の国の市民権取らされるのよ」
イスラエル以外の国のというのだ。
「どの国でもいいけれどね」
「役所でか」
「そうなのよ」
「きついな、それは」
「まあ他国の市民権取るのは楽だけれど」
連合ではだ、二十世紀後半の日本で言うと他の国に住所を移す様なものであり役所で簡単に出来る。
「国外追放にもなるし」
「それ無茶苦茶じゃねえか?」
フックは横で聞いてアンに言った。
「幾ら何でも」
「だからイスラエルだからよ」
「宗教国家だからか」
「ユダヤ教のね」
この宗教のというのだ。
「国だから」
「それでか」
「そうなるのよ」
「そうなんだな」
「そう、本当にね」
まさにというのだ。
「厳しいのよ」
「恐ろしいな」
「そうでしょ、私も変なことしたら」
アンもというのだ。
「破門もね」
「あるんだな」
「ええ、そのせいか他の国に移る人も多いの」
イスラエルからというのだ。
「改宗してね」
「それでか」
「そうなのよ」
「ならシャイロックはもう、だな」
ギルバートは自分達がシェークスピアの劇を演じることから彼の作品の登場人物を話に出した。ヴェニスの商人のそれを。
「イスラエルには入られないな」
「入ることは出来てもも」
「市民にはか」
「なれないわ」
実際にというのだ。
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