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八条学園騒動記

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第五百七十六話 準備万端整ってその五

「汝姦淫するなかれ、だから」
「それじゃあ勉強しないことは怠惰か」
「そう、だからね」
 戒律に反することになるからだというのだ。
「その辺りはね」
「厳しいんだな」
「私生活までね」
「だから羽目もか」
「もう何から何までユダヤ教の戒律で」
 それで縛られていて、というのだ。
「寝てる時以外はね」
「息抜き出来ないか」
「休む日もちゃんと決まっているけれど」
 所謂安息日である。
「その日はモスクに行かないとね」
「絶対に駄目か」
「ええ、行かないと」
「ラビの人が来るんだな」
「後でね」
「完全な監視社会だな」
「民主主義だけれどね」
 このことは事実でもというのだ、連合の中にある国は民主主義であり様々な事由が認められている。
「それでもなのよ」
「ユダヤ教の教義でがんじがらめか」
「多分建国の時より厳しいわよ」
 二十世紀のその時よりもというのだ。
「あの時みたいに戦争ばかりしてないけれど」
「もう徴兵制もしていないよな」
「銀河の時代になって廃止されたわ」
 徴兵制はというのだ。
「それまでは国民皆兵だったけれど」
「周り敵だらけでな」
「そうだったけれど」
 それがというのだ。
「今じゃ連合の中にあるからね」
「それでだな」
「徴兵制はね」
「銀河の時代になって廃止してか」
「すぐにね、軍事力の負担をなくして」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「やっていってるんだな」
「ええ、産業に貿易に邁進していって」
「今に至るよな」
「特に金融にね」
 イスラエルは連合でも屈指の金融大国として知られている。
「それでね」
「国としてやっていっているんだな」
「そうなのよ、お金はあるけれど」
 それでもというのだ。
「今言った通り縛りが多くて」
「窮屈な国か」
「何かとね」
「決まりが多い国といえばシンガポールだが」
 ギルバートはこの国を出した。
「今もな」
「あそこもそうよね」
「だがそれでもな」
「イスラエル程じゃないわね」
「そう思う」
「うちは宗教国家だから」
 ユダヤ教とこの宗教への信仰で成り立っている国だというのだ。
「それでよ」
「決まりも多いんだな」
「そうなのよ」
「シンガポール以上にか」
「シンガポールは宗教に基づいていないでしょ」
「国の伝統でそうだな」
 この時代のシンガポールも人口は少ない、だが金融国家として連合では独特のポジションを占めている。 
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