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夢幻水滸伝

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第百四十四話 見えてきた勝利その十四

「一歩間違えますと」
「そこからですね」
「お二人でも負けますね」
「そこから」
「そうなります」 
 まさにとだ、太宰は二人に話した。
「ですからお二人には油断しないで欲しいものです」
「ほんまにそうですね」
「師匠も中里さんも」
「ここでほんまちょっと間違えると」
「それで終わります」
「軍勢同士の戦に完勝して」
 そうしてというのだ、自分達が今戦っている。
「そのうえで、です」
「はい、さらにですね」
「星のモン同士の一騎打ちに勝って」
「そして敵の棟梁も倒せば」
「それで、ですね」
「完全な勝利となりそれは」
 その完勝がというのだ。
「天下に知れ渡り我々が太平洋と地下世界の覇者であることの証になりますが」
「それでもですね」
「肝心の棟梁を倒せんと」
「それでは完勝とならず」
 それでというのだ。
「よくはないです」
「左様ですね」
「そもそもこの世界の戦は相手の棟梁を全部倒せば勝ちですし」
 この世界の戦の不文律だがそれは絶対の不文律である、だからこそアメリカ軍も綾乃を集中的に狙おうとしたのだ。
「ここでトウェインさんとメルヴィルさんも倒せば」
「それで、ですね」
「勝利も決定しますし」
 このこともあってというのだ。
「是非です」
「師匠と中里さんにはですね」
「勝って欲しい」
「太宰さんにしても」
「左様ですね」
「はい」
 その通りだとだ、太宰は二人に答えた。
「そう考えています」
「ここはどうなるか」
「ほんまに目が離へんですね」
「勝って欲しいところですが」
「果たしてどうなるか」
「確かに中里君も芥川君も強いです」
 このことは間違いないとだ、太宰は話した。
「しかしです」
「トウェインさんもメルヴィルさんもですね」
「お二人もですね」
「お強い」
「そやからですね」
「安心出来ないのです、若し獅子同士が闘えば」
 どうなるかというのだ、強者同士が。
「確実にです」
「片方が死んで」
「そしてもう片方もですね」
「瀕死の重傷を負います」
 そうなってしまうというのだ。
「ですから」
「そやからですね」
「お二人の戦いは」
「私は安心出来ないです」
 太宰の言葉の色は変わらなかった、その決して明るくはなくしかも重さまであるその言葉の色はだ。
「この辺り心配し過ぎでしょうか」
「いえ、宰相さんはその方がええかど」 
 香菜は太宰にこう返した。 
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