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八条学園騒動記

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第五百七十五話 考えたいことその七

「大久保さんは明治帝にはっきりと黒田さんはそんなことしないって言って」
「おいおい、天皇陛下にか」
「そしてね死体を検分して」
 あえて墓を掘り起こしてそうしたのだ。
「違うってね」
「確かめたんだ」
「確かに大久保さんは厳しかったけれど」
「嘘は言わなかったか」
「頭は使ったよ」
 そして策略と言えるものも使った。
「西郷さんの参謀だったから」
「西郷さんがトップでな」
「そして大久保さんが参謀で」
「薩摩藩を率いたんだよな」
「もう西郷さんと大久保さんがいたから」
 西郷は島流しにされたり幽閉されたりもした、だが完全に復帰してから薩摩藩は本当の意味で幕末動き出したと言える。
「明治維新もあそこまで成功したし」
「大久保さんが凄い人なのは事実だな」
「頭が切れて厳しくてね」
「嘘は言わない人か」
「だから若し黒田さんが幾ら優秀でも」
「酒飲んで奥さん切り殺す様な危ない人は用いないか」
「その筈だから」
 それでというのだ。
「このお話もね」
「実は違うか」
「当時から噂になっていたことでも」 
 その真相はというのだ。
「調べているとね」
「それがか」
「噂は噂で」
「実は違うか」
「噂ってのは無責任だよね」
 マルコはこの言葉はどうかという顔で述べた。
「実際に」
「ああ、根拠がなくてな」
 噂については洪童も述べた、どうかという顔であるがその表情にこそ彼の噂というものへの考えが出ていた。
「無責任だよ」
「事実無根でね」
「本当だって話もあるけれどな」
「根拠のない間違いだってね」
「そんなこともあるからな」
「そう、それであれこれ言うことは」
 このことはというのだ。
「よくないよ」
「全くだな」
「それで黒田さんもね」 
 その彼もというのだ。
「実はだったんだよ」
「そんな話はなかったんだったな」
「そうだったんだ」
 その実はというのだ。
「そうした人じゃなかったよ」
「酒乱でもか」
「確かに酔って大砲撃ってそれで人が死んでるけれど謝罪と賠償はしたし」
「人死んでるのは酷いな」
「それでもね」 
 このことは事実でもというのだ。
「奥さんを切り殺すなんてことはね」
「しなかったか」
「そう、芹沢さんもだよ」
 芹沢鴨もというのだ。
「色々言われてるよりずっとましな人だよ」
「どうしようもないならず者じゃなかったか」
「そんな人だったら最初から局長になってないよ」
「人望がなくてか」
「強いだけの酒乱で乱暴者だったら」
 その程度、そう言われる様な者ならというのだ。
「最初からだよ」
「局長に選ばれないか」
「そうだよね」
「それもそうだよな」
 洪童もマルコのその話に同意した。 
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