夢幻水滸伝
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第百四十三話 近代兵器に対してその八
「何があっても」
「そやな、ほなな」
「お互い闘ってくか」
「わいのダグダの棍棒は一撃で要塞も粉砕出来る」
「一撃喰らえば僕でも只では済まん」
「一撃受けても生きていても」
それでもというのだ、この辺りやはり星の者は違う。
「しかしな」
「致命傷は免れないな」
「その一撃を浴びせたいが」
しかしとだ、スタインベックは滝沢の隙を伺いつつ言った。
「しかしな」
「こっちも当たるつもりはない」
「そやな、ほなな」
「闘っていくな」
「自分に勝つで」
「それはこちらの言葉、ならな」
まさにとだ、ここで。
スタインベックは棍棒を上から下に振り下ろした、それで滝沢を頭から叩き潰すつもりだった。だがその一撃も。
滝沢は紙一重で左に動いてかわした、しかも。
ただかわすのではなく同時に前にも動いてだった。
スタインベックの懐に飛び込んで斬りつける、しかし。
ダグダもさるものだ、その攻撃を術を使い防いだ、かわせないと見て術で防壁を出してそれで防いだのだ。
そうしてからだ、彼は言った。
「一瞬でも術を出すのが遅れたら」
「首筋を狙っていた」
「そやからな」
「負けていたというか」
「わいがな、お互いにな」
まさにというのだった。
「一進一退やな」
「確かに。しかし」
「しかし。何や」
「あの場ですぐに術を出すとは」
防壁のそれをとだ、滝沢はスタインベックに言った。
「切れるな」
「力だけやないって言うんやな」
「そちらも中々か」
「日本の諺であるな」
「大男総身に知恵が、だな」
「あの言葉は一概には言えん」
「小男の総身の知恵もというしな」
後には知れたものとなる、結局人間の知恵というものは身体の大小とは関係ないあくまでその個人次第ということか。
「大男といえどもな」
「そや、頭はな」
「また別だな」
「そういうことやな、咄嗟に出したが」
その術をというのだ。
「それがよかった、しかし」
「それでもだな」
「これで終わりやないからな」
「まだ決着はついていない」
「そや、決着をつけるまで」
それまではとだ、スタインベックは話した。
「闘おうか」
「そのつもりでここにいるしな、僕も」
「わいもや、ほな続けるか」
「どちらかが勝つまでな」
二人はこう話してだ、そのうえでだった。
一騎打ちを続けた、力と技のそれは激しいものであり戦場を荒れ狂っていた。一騎打ちはそれだけでなく。
オニールはダイナマイトを放った、だが。
それをかわしてこちらに来る田中に言った。
「いい動きしてるね」
「ほんま過激なことするな」
「過激っていうかおいらの武器これやから」
オニールは田中に返した。
「これを使って闘うスタイルや」
「それでやな」
「ダイナマイトを投げるんや」
「そういうことか、若し」
それこそとだ、田中はこうも言った。
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