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夢幻水滸伝

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第百四十三話 近代兵器に対してその七

「貴女は私を倒すわね」
「この朱槍でな」
 玲子はエミリーの今の言葉に不敵な笑みで答えた。
「そうしてやるよ」
「そうよ、だからね」
「出さないっていうんだね」
「隙を衝かれ尚且つ効かない」
 この二つの問題があってというのだ。
「使うことはないわ」
「そうなんだね、だからこそ」
「私は貴女には術と」
 それはもう使っている、攻撃系の術を幾つも出しているがそれ以上に補助系の術を使って己を強めて戦っている。
「そしてね」
「フラガラッハでだね」
「闘うわ」
「そういうことなんだね」
「貴女は確かに強い」
 一騎打ちをしていて実際にわかった、玲子の武芸はかなりのものだ。
「一流の武芸者ね」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「傾奇者としても一流よ」
「余計に嬉しいね」
「けれど私も星の者」
 それだけにというのだ。
「負けるつもりはないわ」
「そう言うんだね」
「ええ、では勝つわ」
「それはあたしの言葉だよ」
 こう言ってだ、玲子は。
 槍を前に幾度も幾度も激しく突き出す、突きは激しいが動きは少なくその分速い。
「一騎打ちでは負けたことがないからね」
「私にもなのね」
「勝たせてもらうぜ」
「その言葉受け取ったわ」
「受け取ったならだよな」
「勝たせてもらうわ」
 エミリーもフラガラッハを繰り出す、そうして玲子の突きに対する。そうしてお互いに一歩も退かなかった。
 スタインベックは滝沢と闘っている、その勝負は。
 どちらが勝つかわからなかった、スタインベックは棍棒を振り回すが。
 滝沢はひらりひらりとかわす、スタインベックはその彼に対して言った。
「ポール=バニャンとホビットやな」
「そこは違うだろ」
 滝沢は彼の前に立って返した。
「やっぱり」
「ちゃうか」
「牛若丸と弁慶だな」
「そういえば自分の神具は」
「今剣と薄緑は義経公の刀」
「そやったな」
「だから僕としては牛若丸と言って欲しいものだ」
 牛若丸は源義経の幼名だ、尚義経は諱であり名となるのは九郎である。
「しかしそれは」
「わいはアメリカ人やからな」
「ポール=バニャンか」
「そもそも弁慶さんは負けるな」
「如何にも」
 その通りという返事だった。
「それは」
「そやったらな」
「尚更か」
「弁慶やなくてな」
「ポール=バニャンか」
「そして自分がな」
 対する滝沢がというのだ。
「ホビットや」
「その辺りは強引に決めたな」
「そうか、けどポール=バニャンは強い」
「アメリカ人のヒーローの一人か」
「大きくてな、そしてわいは子供の頃からこの人が大好きや」
 ポール=バニャン、その彼がというのだ。
「そやからか」
「言うか」
「そういうことや」
「成程な、しかし僕もな」
「負けるつもりはないか」
「如何にも」
 その通りと言うのだった。 
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