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八条学園騒動記

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第五百七十四話 文化祭前日その十三

「誰よりもな」
「馬鹿だっていうんだ」
「だってな、権力に逆らうならテロいいんだぞ」
「それで沢山の人が死んでも構わない、だね」
「迷惑する人も出て」
 そしてとだ、洪童はさらに話した。
「殺された人の命も遺族の人達の悲しみも理解しないんだろ」
「だからそう言うね」
「理解しようとしないしわかろうともしないで傷付いた人の痛みもな」
「勿論理解しようとしないしわかろうともしないね」
「こんなの馬鹿じゃなくて何だよ」
 こう言うのだった。
「そうだろ」
「人の痛みを理解しない、わかろうともしないなんてね」
「しかも権力に反対するなら何してもいいとかな」
「法律とかわかってないね」
「社会の在り方もな、そんな奴が主張する世界ってな」
「あれだね」 マルコは自分から言った。
「モヒカンがバイクで走り回ってる」
「世紀末な世界だろ」
 この時代でも有名な世界である、暴力が支配する世界だ。
「弱い人が生きられるか」
「徹底的に虐げられてるね」
「世紀末救世主がいればいいけれどな」
「世紀末覇者でもね」
「そういうのがいないと本当にな」
「弱い人は生きられないね」
「モヒカンにいじめられるままだよ」
 まさにそうなるというのだ。
「そんな世界もいいんだろ」
「自分がその世界で生きられると思っているのかな」
「思っているいない以前だろ」
 それこそというのだ。
「そんな馬鹿はな」
「まあそうしたこともわからない、人の痛みや悲しみや死を理解しようともわかろうともしないならどうしようもない馬鹿だね」
 マルコも頷くことだった。
「生きていても意味がないレベルの」
「白痴以下だろ」
「全くだね」
「だから俺も言うんだよ」
「今まで見た中で一番の馬鹿だって」
「眼鏡かけた黒髪センターで分けたアジア系の兄ちゃんだったな」
 そのコンビニ店員はというのだ。
「その店本当に潰れたから余計に印象に残ってるよ」
「そこまで馬鹿な店員雇ってると店長の人を見る目も酷いね」
 店長が面接をして採用するからだ。
「普通に怠け者とか態度悪いんじゃないから」
「生きていても意味ない位の馬鹿だとな」
「モヒカンがバイクで走り回っている世界でもいい様な主張で」
 そしてとだ、また言うマルコだった。
「人の痛みにそこまで無神経だと」
「自分がテロの犠牲になればいいな」
「本気で思うね」
「今頃あんまり馬鹿でな」 
 その為にというのだ。
「周りの全員から見放されてな」
「生きていられなくなってるかな」
「ホームレスになってもな」
 連合でもこうした立場の人は存在している。
「周りもそんな馬鹿だとな」
「相手にしないね」
「そうだろ、正直そんな奴どうなってもな」
「いいんだね」
「ああ、ゴミみたいにくたばっても」
 洪童は忌々し気に吐き捨てた。
「いいさ」
「そうなんだね」
「ああ、どうでもいいさ。そんな馬鹿のこと考えるよりも」
「今どうするか、かな」
「その方がずっと大事さ」
 こう言ってだ、そうしてだった。
 洪童はマルコと共に歩いていった、そのうえで文化祭の仕事をしていった。


文化祭前日   完


                 2020・6・2 
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