八条学園騒動記
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第五百七十四話 文化祭前日その五
「だからね」
「強いか」
「個々の将兵は弱いっていうけれど」
それでもというのだ。
「実はね」
「勝ってるか」
「だから強いって言えば強いよ」
「そうなんだな」
「うん、ただイタリア軍はね」
「やっぱり弱いよな」
「歴史的にね」
これはもうルネサンスの頃にはじまる、まだイタリアが多くの都市国家に分裂していた時代のことである。
「もう戦争になれば逃げる」
「捕まっても命乞いしてな」
「それで捕まえる方も優しくなる位」
「そんなに弱いな」
「ヴェルディの音楽は勇壮だけれど」
それでもというのだ。
「イタリア軍はね」
「弱いって有名だな」
「今はエウロパ軍だけれど」
「あそこは各国軍なかったか」
「確かね、それでね」
そのうえでというのだ。
「イタリア軍とかオーストリア軍とかないけれど」
「イタリア人弱いか?」
「エウロパ戦役では皆強かったらしいよ」
エウロパ軍全体がというのだ。
「勇敢で粘り強くて戦争のことを知っていて」
「連合軍より強かったんだな」
「連合軍は数と装備は圧倒していたけれど」
それでもというのだ。
「連合軍の質はね」
「弱いからな」
「だからね」
それでというのだ。
「エウロパ軍の個々の強さにね」
「引けを取っていたんだな」
「そうみたいだよ」
「じゃあ連合軍はそのイタリア軍以下か」
「太った犬と鍛え抜かれた狼どっちが強いか」
「狼だな」
洪童は即答であった。
「絶対に」
「流石に犬はフル装備で数が多いから勝ったけれど」
「そうだよな」
「それでイタリア軍もね」
今話の中心である彼等もというのだ。
「今は連合軍より強いよ」
「むしろか」
「だからイタリア軍は弱いとは言えないよ」
「連合軍の方が弱いとな」
「だったらね」
それならというのだ。
「ヴェルディからもどうとか言えないよ」
「残念なことだな」
「連合の人間としてはね」
マルコは少し苦笑いで述べた。
「どうも」
「実際連合軍強いとはな」
「言われないね」
「そして言えないな」
「戦争してないし」
エウロパ戦役以外はだ。
「それにね」
「しかもだよな」
「そう、そしてね」
マルコはさらに話した。
「訓練もあまりしていないし」
「それな」
「それでも有名だよね」
「規律を叩き込んでばかりで」
「座学が多くてね」
「あと市民交流とか言ってイベントばかりで」
「訓練はあまりしていないよ」
連合軍はというのだ。
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