八条学園騒動記
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第五百七十四話 文化祭前日その二
「もうね」
「ヴェルディか」
「そうなるよ」
「そういうことか」
「それにヴェルディの音楽ってはっきりしていて」
そしてというのだ。
「劇的で盛り上げてくれるから」
「だから余計にいいか」
「特に戦争の場面凄いけれどね」
この時の音楽がというのだ。
「ファルスタッフでもね」
「いい音楽だからな」
「もうこっちになるよ」
「そうなるか」
「うん、まあヴェルディって喜劇苦手だったらしいけれど」
「あれだな、ズンチャカチャッチャッで」
「もう燃え上がる様な」
そうしたというのだ。
「これから戦う」
「そんな感じだな」
「アリアなんか無茶苦茶盛り上げる」
独唱である、歌劇の見せ場の一つであるがヴェルディはこの時の音楽も非常に盛り上げてくるのだ。
「そうしてくるから」
「劇的っていうとな」
「まさにその通りで」
それでというのだ。
「喜劇よりもね」
「恋人の取り合い、戦争に果し合い」
「そんなのが似合うな」
「そんな音楽で」
それでというのだ。
「喜劇よりもね」
「悲劇だよな」
「そちら向きの人だね」
「そうだな」
「本人も悲劇が得意で」
実際にそうした作品を多く残している。
「喜劇は苦手だと思っていたらしいよ」
「あの音楽はそうだな」
「そうだね、けれどね」
「あの作品名作だよな」
「音楽最高だよ」
ヴェルディの作曲したそれはというのだ。
「もうあれ以上はない」
「それまでだな」
「実際喜劇もいけたから」
「悲劇だけじゃなくてな」
「多分一作失敗して」
実際に初期に失敗作を出してしまっている、そうしてそこから喜劇を作曲してこなかったのだ。そのファルスタッフまで。ただこの失敗はあくまで観客や批評家からの評判である。
「それでね」
「自分は向いていないって思ったんだな」
「そうじゃないかな」
「それよくあるよな」
「一作の失敗でね」
まさにそれでだ。
「自分は駄目だってね」
「思う人いるよな」
「ヴェルディもそうだったんだよ」
「失敗して避ける様になったか」
「そうなったんだよ」
「失敗は成功の元だろ」
「そう思う人もいるけれど」
世の中そうした人だけでないというのだ。
「失敗してね」
「自分には向いていないか」
「そう思って」
それでというのだ。
「しない人もね」
「いてか」
「ヴェルディもそうなんだよ」
「俺は失敗してもな」
「チャレンジするね」
「とことんやるさ」
こうマルコに話した。
「好きならな」
「そうするんだね」
「というか一度や二度の失敗でな」
「諦めるとかだね」
「ヴェルディも駄目だろ」
こうも言うのだった。
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