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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十九話 香織さんの告白その二

「クリスマスまではね」
「予定はないのね」
「そう、ないよ」
 本当にというのだ。
「全くね」
「そうなのね」
「テストが終わったら本当に消化試合で」
 僕は香織さんにさらに話した。
「何かすることもないよ」
「そうなのね」
「うん、まあ適当にね」
「過ごすつもりなの」
「それだけだよ」
「実は私もね」
 香織さんは僕のその話を聞いて言ってきた。
「予定ないの」
「テストが終わったら」
「それでクリスマスの時も」
「その時もなの」
「そう、別にね」 
 これといってというのだ。
「ないの」
「そうなんだ」
「うん、あとね」
「あと?」
「実家に帰る予定もないのよ」
「北海道の方に」
「まあ帰ろうと思ってるけれど」
 予定はないがというのだ。
「両親もいるしね」
「ご両親は何と言ってるのかな」
「帰って来いって言ってるわ」
「やっぱりそうだよね」
「ええ、ただ予定としてはね」
「ないんだ」
「まだ決まってないの、ここにいてもいいし」
 この八条荘にというのだ。
「別にね」
「そこはフリーなんだ」
「そうなの」
 これがという返事だった。
「どうしてもいいの」
「戻っても残っても」
「義和が駄目って言ったら」 
 八条荘の管理人である僕がというのだ。
「そう言ったらね」
「北海道に戻るんだ」
「そうするわ」
 こう僕に話してくれた。
「その時はね」
「そうなんだ」
「まあそこはね」
「まだ決めていないんだ」
「そうなの、ただね」
「ただ?」
「後悔はしない選択にしろって」
 香織さんはここでこの言葉を出してきた。
「お父さんお母さんにいつも言われてきたから」
「だからなんだ」
「そう、今回もね」
「後悔しない様に決めるんだ」
「そうするわ」
 こう僕に話してくれた。
「今度のこともね」
「北海道に帰るにしても神戸に残るにしても」
「どちらでもね」 
 こう僕に話してくれた。
「そうするわね」
「後悔はするな、だね」
「そう、いつもそう言われてきたの」 
 ご両親にというのだ。
「人間後悔はどうしてもするけれど」
「出来る限りだね」
「それは最低限になる様にねってね」
「そうだね、人間どうしてもね」
「後悔はするわね」
「生きていたらね」 
 このことはどうしても避けられない、人間は後悔せずに生きていける人生なんて有り得る筈がないことだ。
 だからだ、僕もこう香織さんに答えた。 
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