八条学園騒動記
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第五百七十三話 舞台のトラブルその十
「いい人はな」
「学校の教師にならないっていうね」
連合ではよく言われることだ、二十世紀の日本とこのことは同じか。
「よく」
「だからな」
「悪い顧問のいる部活はね」
「行かない方がいいな」
「もっと言えば最初から入らない方がいいね」
「殴られたり蹴られたり罵られたり」
この時代でも学校の教師の行いは問題になっている、教師のいじめや傷害事件、性犯罪は他の職業に比べて異常に高い。
「酷い目に遭うとな」
「トラウマにもなるし」
「余程好きなものをやるから顧問のことで我慢出来るならいいけれどな」
「そうじゃないとね」
「最初からな」
それこそというのだ。
「入らないかな」
「間違って入ったら」
「辞めるか」
「それか幽霊部員になるか」
「そうしないとな」
「おかしな顧問からは逃げることも」
マルコは真剣な顔で言った。
「勇気がいるしね」
「逃げることもな」
「それに知恵だから」
「おかしな奴から逃げることはな」
「それで暴力受けて」
そしてというのだ。
「怪我負ったりな」
「命に係わる場合もあるし」
「そんな目に遭う前に」
「逃げないとね」
「学校の教師は権力者なんだよ」
生徒を預かり教える、それだけで権力だ。そして権威でもある。教師はその立場にあるだけで権力者であり権威を持っているのだ。
洪童は教師が権力者であることからさらに話した。
「だから腐った奴はな」
「腐敗した権力者だね」
「もう好き放題やるからな」
「生徒をものと思ってね」
「自分の得点になる為のな」
「利用する駒としかね」
「思ってなくてな」
こうした教師はこの時代も普通に存在する、むしろやはり他の職業と比べてこうした輩がいる割合が極めて高い。
「それでちょっとしたことでな」
「殴って蹴ってね」
「切り捨てたりな」
「してね」
「もう金にも女にも汚い」
「本当にやりたい放題だから、そもそも」
マルコは顔を顰めさせて言った。
「学校って閉じられた世界だから悪事もね」
「表に出にくいな」
「だから悪事もね」
「隠せるしな」
「チェックも利きにくいし」
悪事を隠蔽出来るうえにだ。
「だからね」
「余計に腐っていってな」
「やりたい放題になるからね」
「酷い奴は本当に酷いからな」
「ヤクザ屋さんと変わらないから」
このことも二十世紀後半の日本と同じだ、ただし流石にこの頃の日本より遥かに悪事は露呈しやすくそうした教師は容赦なく処罰される。
「逃げないとね」
「何かある前にな」
「若しくは悪事をネットで流す」
「よくある話だな」
「そうして」
そのうえでというのだ。
「社会的に抹殺しないとね」
「連合は幸い凶悪犯罪に厳しいしな」
連合の特徴の一つである。
「それで教師もちゃんと処罰されるしな」
「通報や動画の拡散も手だね」
「ああ、けれどそれが出来ないなら」
「逃げないとね」
「自分の為にな」
「随分物騒なお話ですが」
部員は二人の今の話に苦笑いで応えた。
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