八条学園騒動記
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第五百七十三話 舞台のトラブルその九
「他のこともね」
「劇場のことならですね」
「全部ね」
まさにというのだ。
「そういうことでね、じゃあね」
「はい、また」
「宜しくね」
「何かあったらすぐに言って下さい」
部員は最後までこう言った、そして。
二人は部員と別れ劇場を後にした、クラスに戻る途中でマルコは洪童に対してこうしたことを言った。
「いや、しかしね」
「しかし?」
「部員の人しっかりしてくれてるね」
「そうだな、それはな」
洪童もその通りと応えた。
「その通りだな」
「そうだよね」
「本当に消防署の人が絶対に消すって言ってくれてることとな」
「同じだね」
「ああ、劇場のことはな」
何といってもというのだ。
「演劇部だな」
「あの人達の場所だからね」
「そうだからな」
「そこは絶対だね」
「ホームグラウンドだからな」
何といってもという口調での言葉だった。
「何でも知ってるさ」
「そうだよね」
「逆に何も知らないとな」
「その方がね」
「怖いからな」
「どうして何も知らないってなって」
「本拠地なのにな」
まさに全て知っている場所なのにというのだ。
「そうなるからな」
「その通りだね」
「本当にスポーツチームでもホームグラウンドだとな」
「勝ち越すね」
「それが普通だからな」
幾ら弱いチームでというのだ。
「そう思うとな」
「演劇部にしても」
「知ってこそで」
「むしろ何も知らないなら」
「かなり不真面目な部員だな」
「あまり劇場に行っていない」
「そうした奴だな、まあ中にはな」
こうもだ、洪童は言った。
「幽霊部員もいるな」
「それは何処でもいるね」
「籍だけ置いて」
そのうえでだ。
「全然来てない奴とかな」
「いるね、本当に」
「まあそれもな」
洪童の口調は否定しないものだった。
「ありって言えばな」
「ありだね」
「そうだよな」
「部活が合わないと」
「好きでないとな」
「籍は置いていても」
それでもというのだ。
「行かなくてもね」
「いいな」
「好きならやって」
そしてというのだ。
「嫌ならな」
「しないでいいな」
「部活はそんなものだね」
「全くだな、というかな」
「というか?」
「顧問が暴力振るったりな」
洪童はこのことは嫌そうな顔で話した、その顔には明確な嫌悪がありそれを隠そうとも全くしていなかった。
「そんな部活だとな」
「行かない方がいいね」
「あるからな」
「そうそう、連合ではね」
「いい鉄は首にならないでな」
それにというのだ。
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