八条学園騒動記
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第五百七十三話 舞台のトラブルその八
「それは」
「あの千年連続最下位のチームですね」
「毎年勝率一割台、百二十敗してるな」
「連合最弱のプロ野球チーム」
「あらゆるジャンルのスポーツチームでも最弱だよ」
その勝率から言われていることだ。
「一割台なんて有り得ないだろ」
「だから千年連続最下位ですね」
「人気も金もなくてな」
金があったのは二十一世紀までのことだった。
「スター選手もいなくてな」
「防御率今年は八点台、打率は一割八分で」
「エラーは一試合辺り平均四つ、ホームランは年間五十本切りそうだな」
「物凄い弱さですね」
「それ位でないとな」
巨人位弱くないと、というのだ。
「本拠地で負け越すとかな」
「ないですね」
「流石にな」
「だからですね」
「こんなチームはあくまで例外で」
「普通は本拠地では勝ち越しますね」
「そうだよ、だからそっちもな」
演劇部もというのだ。
「ここのことわかってるよな」
「そのつもりですし」
「実際にわかってるさ」
洪童は笑って話した。
「だからな」
「ここのことはですね」
「あんた達がそう言ってれるならな」
微笑んで述べた。
「俺達はな」
「それで安心ですね」
「ああ」
実際にというのだ。
「そうなってるさ」
「ならその信頼にです」
「応えてくれるか」
「そうさせてもらいます」
部員は笑顔で応えた。
「是非」
「その言葉でどれだけ励まされるか」
「そこまで言ってくれます?」
「わかっていないといけない人がわかっているって言ってくれたらな」
それというのだ。
「それだけで全く違うさ」
「そんなものですか」
「あんたも消防署の人が絶対に火を消せるって言ったら安心するだろ」
「はい」
その通りだとだ、部員も答えた。
「そう言ってくれたら」
「そうだろ」
「もう絶対にです」
それこそというのだ。
「安心してです」
「火を消してもらえるってな」
「確信して」
それでというのだ。
「お任せ出来ます」
「そういうことだよ」
「僕達もですか」
「そう言ってくれたらな」
劇場のことは任せてくれと、というのだ。洪童は部員に対して微笑んでそうして話をしていった。その笑顔にも気持ちが出ていた。
「安心出来るさ」
「それでは」
「ああ、頼むな」
「劇場のことなら」
「そういうことでな」
「僕もだよ」
マルコも言ってきた。
「今の君の言葉でね」
「安心してくれましたか」
「音響のことだけじゃなくて」
今回の件だけでなくというのだ。
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