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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十八話 期末テストその十五

「完全にね」
「期末テストで」
「もう後は」
 それが終わって十日程、終業式まではだ。
「消化試合で」
「もう通ってるだけよね」
「そうだよね」
「それで終業式が終わったら」
「二十三日だから」
 終業式の日はだ。
「もう次の日だからね」
「クリスマスはね」
「本当にテストが最後だよ」
 学校のことはだ。
「そんな風だよ」
「そうね、それでクリスマスは」
「ケーキや七面鳥の前に」
 小野さんが出してくれるそれの前にだ。
「ローエングリンだよ」
「それを観るのね」
「そうなるよ」
 こう詩織さんに答えた、けれど。
 僕はこの時まだテストが終わってからクリスマスまでの消化試合について深く考えていなかった、何が起こるかは。
 それでそのまま詩織さんに話した。
「あの不思議で奇麗で悲しい」
「その作品を観るのね」
「誰かとね」
「じゃあ私立候補するわね」
 二人で観るそれにというのだ。
「チケット用意出来る?」
「すぐにでも」
 それこそ歌劇部のサイトにアクセスすれば即座にだ、チケットは買える。この辺りは大学のサービスでもある。
「出来るよ」
「じゃあお願いするわ、ただね」
「ただ?」
「こう言ったら」
 詩織さんはふと微笑んで僕に言ってきた。
「私義和の彼女みたいね」
「あっ・・・・・・」
 そう言われるとだ、僕もだった。
 はっとなった、それでこう返した。
「そうだね」
「ええ、じゃあもうね」
「付き合うかっていうんだ」
「駄目かしら」
「それを言うと」
「駄目かしら」
「大丈夫にしても」
 こう詩織さんに返した。
「やっぱりね」
「あのことね」
「そう、DNA鑑定がまだだから」
 僕達のそれがだ。
「流石に兄妹だとね」
「付き合えないわよね」
「だからね」
 それでとだ、僕は詩織さんに答えた。
「まだね」
「返事は出来ないのね」
「あと少しでわかるから、それに」
 僕はこうも言った。
「もっと言えば親父に聞いたら。ただね」
「義和のお父さんはそうした人じゃないのよね」
「相手がいる人とは遊ばないから」
 若し相手がそのことを隠していてもわかるらしい、何も言わなくてもそうしたことは目と動きの微かなものに出るというのが親父の言葉だ。
「だからね」
「そうした人なら」
「遊ばないけれど」
「DNAの検査でちゃんとわかって」
「それからね」 
 あくまでそれからだ。
「考えよう」
「ローエングリンのことは」
「そうしよう」
「それじゃあ」
「うん、それに今はね」
 何といってもだ。
「テストがあるから」
「そっちにね」
「専念しないとね、じゃあ晩ご飯食べて」
「それからまたテスト勉強して」
「お互い頑張ろうね」
「そうしましょう」
 詩織さんも応えてくれた、そしてだった。
 僕達は一旦食堂からそれぞれの部屋に戻ってテスト勉強に入った、そうして晩ご飯を食べた。それから僕は十二時過ぎに書斎に入ったけれどその時にだった。


第二百七十八話   完


                  2020・4・1 
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