八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十八話 期末テストその十四
「あれよね」
「あれっていうと」
「人間って年齢を重ねる度に時間が経つのが速くなるのかしら」
「それは」
言われるとだ、僕にしてもだ。
「そうかも知れないね」
「義和もそう思うわよね」
「うん、確かに子供の頃は時間が経つのが長かったけれど」
幼稚園そして小学生の間はだ。
「中学生になって」
「時間が経つのが速くなって」
「そしてね」
そのうえでだ。
「今はね」
「高校生になったら」
「中学生の時より速くなってるよ」
その時間の流れがだ。
「実際にそう感じるから」
「義和もそう思うでしょ」
「うん」
実際にとだ、僕は詩織さんに答えた。
「まさにね」
「やっぱりそうよね」
「このままだと」
僕は詩織さんにさらに話した。
「お爺さんになった時なんか」
「もう一日は一瞬とか」
「そうかも知れないね」
「そうよね、一寸の光陰何とかっていうのは」
「本当だね」
「少年老いやすくってあるけれど」
その一寸の光陰の言葉の前にはこの言葉が付く、井上靖か誰かの作品でこの言葉について真剣に書かれていたのを覚えている。
「実際にそうかもね」
「うん、誰もがね」
「私の場合は女の子だから少女だけれど」
詩織さんは笑ってこうも言った。
「同じよね」
「人が歳を取るのは変わらないからね」
「男の子も女の子もね」
「誰もが絶対にそうなるよ」
「そうよね」
そうならないのは創作の世界だけだ、それこそ終戦直後にはじまって今も歳を取っていないサザエさんみたいな人は。
「いいか悪いか別にして」
「本当に誰もがね」
「歳を取るわね」
「そうだよ」
「まさにそうよね」
「子供は大人になって」
「大人もお年寄りになるわね」
詩織さんは僕の今の言葉に続けてこう言った。
「私達だってね」
「絶対にだよ」
「生きていれば歳を取って」
「成人してね」
「お年寄りになるわね」
「もうそれは絶対だよ」
この世にある数少ない絶対のことの一つだ。
「人は死ぬし」
「そのことも絶対だけれどね」
「歳を取ることもだよ」
「やっぱり絶対ね」
「うん、僕なんて高校生どころか中学生になれるか」
そのことはだ。
「子供のころは夢みたいだったけれど」
「なったわね」
「そうなったしね」
「誰でもね」
「成長していくんだ」
つまり歳を取るのだ。
「そうなるよ」
「そして年齢を重ねるにつれて」
「どんどん時間が経つのが速くなる」
「そうよね」
「それが世の中だね、だからクリスマスなんて」
今はテストのことで頭が一杯でもだ。
「それでもね」
「すぐね」
「もう目を閉じて開いたら」
それこそだ。
「クリスマスだよ」
「でしょうね、実際」
「今日も気付いたら夜だし」
「テストが終わってね」
「それで明日もね」
明日もテストがあるけれどだ。
「それもね」
「あっという間に終わって」
「そしてね」
そのうえでだ。
「最後の日もね」
「あっという間ね」
「それでテストが終わったら」
その後はだ。
「授業はまだあるけれど」
「正直消化試合になるのよね」
「もう二学期最後の行事は」
学校におけるそれはだ。
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