八条学園騒動記
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第五百七十三話 舞台のトラブルその二
「自分達のお芝居と劇場のことにかかりきりだよ」
「そうなんだな」
「だからね」
「劇場に行けばいいか」
「それで演劇部の人に話そう」
「それじゃあな」
洪童はマルコの言葉に頷いた、そしてだった。
二人で学園の劇場に行くと実際に演劇部の部員達が詰めていた、それでノイズのことを話すと一年の男子部員、黒人の彼に言われた。
「はい、もうです」
「ノイズのことはか」
「終わらせました」
すぐにこの返事が来た。
「ご安心下さい」
「そうなんだな」
洪童はその言葉を聞いて言った。
「動きが速いな」
「他のクラスからもお話がきまして」
「それでなんだな」
「それで先程チェックしましたら」
「どうだったんだよ」
「やはり音響に異常がありました」
そうだったというのだ。
「それですぐになおしました」
「それならもう」
「大丈夫です」
一年の部員は洪童に笑顔で答えた。
「ご安心下さい」
「対応早いな」
「もう言われましたら」
その時点でというのだ。
「動く様にしていますから」
「それでか」
「ここは僕達のホームグラウンドですからね」
部員はこうも言った。
「何といっても」
「部活ここでしてか」
「部室もここにありますし」
この劇場にというのだ。
「ですから」
「ホームグラウンドか」
「それだけにです」
「何かあったらか」
「言われましたら」
その時点でというのだ、部員の洪童への返事ははきはきとしていて実に明瞭なものだった。わかりにくいところは何もなかった。
「もうすぐにです」
「調べてか」
「なおします」
「それは何よりだよな」
洪童は部員の話を聞いてしみじみとした口調で述べた。
「すぐに対応してくれたら」
「トラブルがありましたら」
「その時点でか」
「対応する様にしています」
演劇部はというのだ。
「その様にしています」
「心掛けているんだな」
「そうです」
まさにというのだ。
「僕達は」
「いいことだな」
「そうだよね、というかトラブルってね」
洪童の横にいるマルコも言ってきた。
「どうしても起こるからね」
「それもここぞっていう時にな」
「そうなんだよね」
「トラブルはいつもことですよね」
部員も少し苦笑いになって述べた。
「まことに」
「そうだよね」
「はい、部活でもです」
つまり舞台でもというのだ。
「本番の時にです」
「トラブル起こるんだね」
「起こる時は」
まさにその時はというのだ。
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