夢幻水滸伝
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第百四十一話 敵影発見その八
「そのうえでのことや」
「各員一掃奮闘努力やな」
「そうしてもらうで」
「そういうことやな、アメリカは間違いなくこの世界最大の勢力やしな」
「最大最強やな」
「南洋も中国も強かったが」
このことは紛れもない事実であったがというのだ。
「しかしや」
「アメリカはそれ以上に強い」
「若しほんの少しでも油断したら」
「その場合はやな」
「負けると思うことや」
「そういう気持ちで戦うんやな」
「そういうことや、ほないよいよな」
まさにとだ、芥川は中里に話した。
「決戦に向かうで」
「わかったわ」
中里は芥川のその言葉に頷いた、そしてだった。
総員配置につきそのうえで備えた、その中で。
空船や軍艦、空を飛べる者達を偵察に出してアメリカ軍の移動要塞であるマグ=メルを探した。すると。
斥候を率いて蓬莱の前にいた瑠璃子達四人は自分が乗っている空船の前に巨大な動く浮島を見て言った。
「あれやな」
「間違いないわ」
「アメリカ軍の移動要塞や」
「マグ=メルや」
由香、紗枝、雅美の三人も瑠璃子の言葉に頷いた、その浮島を見て。
「こっちに来てるな」
「浮島の中で大勢の人も動いてるしな」
「マグ=メルに間違いないわ」
「ほんまにな」
四人で顔を見合わせて話す、そして。
由香はそのマグ=メルから来る空船の艦隊七隻程のそれを見て仲間達に言った。
「敵が来たしな」
「それでやな」
「そや、今からな」
由香は紗枝に話した。
「退こうな」
「そうしような」
「ああ」
まさにというのだ。
「私達は斥候や」
「それでやな」
「ここで戦うことはないからな」
「その通りや、ほなな」
「撤退や」
紗枝に続いて雅美も言ってきた。
「ここは」
「そうすべきやな、ほな全軍撤退や」
瑠璃子がこの決断を下した、そして。
四人が率いる斥候の空船の艦隊は踵を返してそのうえで撤退に入った、だが追撃に来たアメリカ軍の空船の方から。
セリューが四人に対してこんなことを言ってきた。
「ここでは一戦といかないっすか」
「こっちはそのつもりやけどおな」
「そうせんのか」
「それは次の機会にしよな」
セリューに続いてミニーとジェーンも言ってきた、だが。
雅美が笑って三人にこう返した。
「今はこっちは偵察に来ただけやし」
「そうっすか、ならっす」
セリューは追い続けている、だがそれでも雅美にこう返した。
「追い付くっすが」
「それが出来んかったらか」
「決戦の時に会うっすよ」
「そうか、それやったら逃げてみせるわ」
「うち等の逃げ足は天下一品やで」
瑠璃子もセリューに笑って話した。
「追い付けるかい」
「そこは自慢するとこか?」
「ちゃうやろ」
ミニーとジェーンは瑠璃子の今の言葉にやれやれという顔で応えた。
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