夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百四十一話 敵影発見その七
「戦ってくれたりもする、それがや」
「南洋戦、中国戦ではか」
「出た、何かな」
「何か?」
「冬戦争の時のフィンランド軍や」
この軍の様にというのだ。
「物凄く強くてな」
「それでか」
「僕の予想以上に強くてな」
「その強さで戦ってくれてか」
「勝ってきた、アメリカ戦ではわからんけどな」
「それでもやな」
「策は結局絶対のもんやないんや」
それがよくも悪くも自分が思う策の通りにはならないというのだ。
「そういうものや」
「そやねんな」
「火事場の馬鹿力ってのもあるしな」
「何処ぞの正義超人みたいにか」
「あれはまた極端でもな」
それでもとだ、芥川は中里に応えて話した。
「土壇場での底力、百パーセントどころかな」
「百二十パーセントやな」
「その二十パーセントで全くちゃう」
それこそというのだ。
「とんでもない強さになる、それを六十万の軍勢全軍とな」
「星のモン全員が出してか」
「それがな」
「策では考えてへんかったか」
「そうした底力を出させる戦術もあるけどな」
「背水の陣やな」
「そや、あれがある」
背水の陣と言っても二つある、項羽が行った川を渡ったうえで三日分の兵糧以外は全て捨てて敵を倒してその兵糧までも奪って勝つことを目指すものと韓信が行った倍の敵に向かう為に川を渡って戦うものだ、どちらにしても退路を自ら断ったうえで戦うという自軍を極限にあえて置く戦術でありかなり過激な戦術だ。
「あえてな、けどな」
「自分はやな」
「それはな」
「せんな」
「奇策は用いるけどな」
それでもというのだ。
「ああしたリクスの高い戦術はな」
「採らへんな」
「勝ったらええ」
背水の陣を敷いてもというのだ。
「しかしな」
「それでもやな」
「若しもや」
「しくじったらやな」
「もうどうにもなくなる」
背水の陣を敷いて敗れればというのだ。
「今回の戦は負けたら終わりにしても」
「それでもやな」
「背水の陣みたいなもんはな」
「やらんか」
「今のとこは、やけどな」
「必要な時はか」
「するが」
その背水の陣はというのだ。
「今はな」
「せんのやな」
「そうして戦って」
そしてというのだ。
「勝つで」
「そうするんやな」
「アメリカにはな」
「そうか、絶対に勝つな」
「何があってもな、既に僕の頭の中では勝利の方程式が出来上がってて」
芥川はさらに話した。
「そして勝鬨もや」
「聞こえてるか」
「そや、しかしそれを実現するには」
「全部の力を合わせてやな」
「効果的に使ってな」
そうしてというのだ。
ページ上へ戻る