夢幻水滸伝
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第百四十一話 敵影発見その六
「対策も考えてたけどな」
「それでもか」
「ほんまにな」
「綱渡りやったんやな」
「ずっとな」
「そやったか」
「若しもな」
芥川はさだに話した。
「ちょっとでもミスったりアクシデントに捉われるとな」
「その時点でか」
「策として負けてた」
「そやったか、ただな」
中里は芥川の今の言葉から少し気になることがあった、それで彼に対して考える顔でそのうえで言った。
「策としてって自分言うな」
「ああ、言うてるで」
その通りだとだ、芥川自身認めた。
「実際にな」
「そやな」
「それはな、策は確かに重要やが」
戦においてそうだというのだ。
「しかしそれだけやない」
「戦は他の要素もあるか」
「アクシデントは考えられる、しかしな」
それでもというのだ。
「敵の失策、こっちの健闘」
「それはか」
「考えてない、正直な」
「正直。何や?」
「日本軍の将兵の強さにな」
このことに加えて、というのだ。
「星のモンの底力はやな」
「考えてなかったか」
「強いとはわかってた」
星の者達、日本にいる彼等のそれもというのだ。
「実際にな、けどな」
「それでもやな」
「予想以上やった」
日本の星の者達の強さはというのだ。
「誰もな、自分も南洋との戦での武勇と采配はな」
「両方か」
「あそこまでとはな」
「思わんかったか」
「ああ、予想以上しかも」
芥川は中里自身にさらに話した。
「遥かにや」
「予想以上は予想以上でもか」
「綾乃ちゃんの采配と強さもな」
彼女についてもというのだ。
「ほんまにな」
「予想以上やったか」
「何もかもな」
「そやったんやな」
「ああ、策はあくまで頭の中での考えや」
それに過ぎないといいうのだ。
「机上の空論と言えばな」
「そうなるか」
「それでや」
だからだとだ、芥川は中里にさらに話した。
「自軍が僕の予想よりも弱かったりな」
「今自分が話してる通りにか」
「予想以上、それも遥かにな」
「強くてか」
「それでや」
そのうえでというのだ。
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