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八条学園騒動記

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第五百七十二話 アイスのことその七

「もうね」
「働く必要なかったのね」
「お姉さんのお店継いだらしいけれど」
「それでお店にいたの」
「年金で暮らせる歳になってね」
「何ていうか」
 ここまで聞いてだった、レミは言った。
「元々お店にいたくなかったのね」
「そこに無理に継がされてね」
「それで嫌々やってて」
「普通にそれまでも凄く不愛想な人だったらしいけれど」
 それでもというのだ、ネロはどうかという顔になってそのうえでレミにも今一緒にいる面々にも話した。
「余計にね」
「あの、それは」 
 どうかとだ、セーラはここまで聞いて言った。
「どうにも」
「よくないよね」
「そう思います」
「嫌々でもだね」
「やるからにはです」
 それならというのだ。
「お金が貰えますし」
「笑顔ですべきだよね」
「というかお仕事ですね」
「そうだよ」
「そうした意識もですね」
「なかったみたいだね」
「それでいつも不愛想でいてとは」
 どうかとだ、セーラはどうかという感じで述べた。
「よくないですね」
「だからお店潰したんだ」
「そしてその後は、ですね」
「ゲームショップになって」
 それでというのだ。
「そこは繁盛しているよ」
「そうですか」
「ちなみにそのお兄さんはお婆さんの親戚らしいんだ」
「後は継がれたのですね」
「お店の種類は変わったけれどね」
「それはよかったですね」
「うん、しかし本当に不愛想な人だったよ」
 ネロはその人のことを思い出しつつこうも言った。
「もう何がそんなに不愉快かっていうね」
「そんな顔していてだね」
「接客も不愛想でね」
「笑わなくて」
「だから子供達からは不愛想婆って言われてたよ」
「そのままだね」
 マルティはその仇名を聞いてこう述べた。
「本当に」
「子供の付ける仇名ってダイレクトだからね」
「ありのままだからね」
「それで本当にね」
 実際にというのだ。
「そうした仇名になったんだ」
「そうなんだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「そうした仇名になったんだよ」
「成程ね」
「子供達は皆色々言ってたよ」
 その老婆のことをというのだ。
「正体は妖怪だとかね」
「子供ってそんなことよく言うよね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「他にも色々言われてたよ」
「子供はどんどん言うからね」
「実は子供を襲って食べるとか」
「そんな筈ないのにね」
「あと家の裏には死体があるとか」
「人を殺して?」
「そう、百人は殺してるとか」
 そうした根拠も何もない作り話が出来ていったというのだ、 
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