八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十七話 期末テストを前にしてその十五
「繊細で心優しい人だったのでしょう」
「悪い人じゃなかったんですね」
「いい意味で女性であった」
「そうした人でしたか」
「現に当時バイエルン国民はあの人を愛していました」
「かなり人気があったそうですね」
「色々言われていたことは事実ですが」
その暮らしがおかしいと言われてだ、だから狂王と言われていたけれどあの人に狂気は全く感じない。
「しかしです」
「愛されてもいましたか」
「ビルマスクも終生擁護していました」
「あの人は何か」
「はい、バイエルン王を敬愛して」
プロイセンの人なのにだ。
「親身に助言もされていました」
「王が亡くなるまで」
「それはあの方がわかっていたのでしょう」
ビスマルクにしてもというのだ。
「そしてそのお心を知っていたので」
「王が亡くなるまで擁護してですね」
「助言もしていました」
「ビスマルクは厳しい人でしたね」
「冷徹な現実主義者でした」
「そんな人がずっと助けようとしていたからには」
「やはりかなりの人物で」
そしてだ。
「害になる人でもおかしな人でもです」
「なかったんですね」
「だから当時から愛されて」
「今もですね」
「慕われているのです、王が亡くなった時多くの国民がお花を添えました」
王のその棺にだ、バイエルン政府は遺体から脳を取り出して普通より軽いのでこれが狂気の原因だと言ったけれどかえって批判されたらしい。
「ジャスミンのお花を」
「王が愛した」
「そうだったのです」
「そうでしたか」
「そして実はクリスマスに」
畑中さんはまたこの時のことをお話してくれた。
「学園の歌劇部でローエングリンがあるそうなので」
「そちらにですね」
「行かれてはどうでしょうか」
「そうですね、じゃあ」
僕は畑中さんに答えた。
「考えさせてもらいます」
「そうしてくれますか」
「前向きに」
僕は畑中さんに笑顔で答えた、そうしてお酒を飲み終えたら畑中さんとお別れをして寝た。また明日と思いながら。
第二百七十七話 完
2020・3・23
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