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夢幻水滸伝

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第百四十話 波高しその八

「それ見たらな」
「寿命長いな」
「そやな」
「戦を前にしたら出来んもんやが」
 怪我が多い格闘技だからだ、生身でぶつかり合い激しい技を出し合うのだ。これで怪我が多くない筈がない。だからアメリカ軍も今は将兵達に格闘技はトレーニングとして許可していてもプロレスそれにアメフトといった怪我の多いものは自粛させているのだ。
「そのことでもええな」
「ほんまやな」
 ビリヤードをしながらこんなことを話していた。
 ルイスはこの時エミリーそしてホーソーンの武具を付けたうえでも模擬戦闘を見ていた。そしてそのトレーニングの後で二人に話した。
「お二人共さらにです」
「動きがよくなってるのね」
「はい」
 エミリーにその通りだと答えた。
「いい感じに」
「それは何よりね」
「日本は強い星の奴が多いさかいな」
 ホーソーンもルイスに応えて述べた、額から流れる汗はタオルで拭いている。
「そやったらな」
「ええとですね」
「わいも思うわ」
「日本は強いわ」
 エミリーは言い切った。
「そやから」
「こちらもですね」
「強くないとあかん」
 こうルイスに言うのだった。
「やっぱり」
「その通りです、獅子は鼠を倒すのにも全力を尽くします」
「油断しないということね」
「そしてそれがです」
「真の覇者ね」
「真の覇者というものは」
 まさにとだ、ルイスはさらに話した。
「常に全力を尽くして戦うものです」
「そやね」
 エミリーはルイスの言葉に落ち着いた口調で応えた。
「どんな相手にも」
「まして日本はです」
「強いわね」
「強いからこそこれまで勝っています」
「南洋にも中国にも」
「そうですさかい」
「全力で向かって勝つ」
 エミリーはここでだった、自分の左腰にある袋を見た。そしてその袋の中にあるものを意識したのだった。
「これを使っても」
「メドゥーサの首やな」
「見たものを石化させる」
「自分の神具の一つやな」
「これを使うわ」
 こうホーソーンに話した。
「戦の時は」
「出し惜しみせんとやな」
「これを使えば」
 まさにというのだ。
「誰もが石になるから」
「少なくともこの世界に最初からおるもんはな」
「まず石化出来るわ」
「その首を見たモンはな」
「そうすることが出来るわ」
「ほんまに恐ろしい神具やな」
「私達星の者も」
 つまり自分達もとだ、エミリーは話した。
「迂闊に見たら危ういわ」
「そやな」
「だからこそ」
 エミリーはさらに言った。
「戦の時はこれを使うわ」
「自分の切り札の一つをやな」
「もう一つの切り札も」
 エミリ―は今度は腰の得物を見て話した。 
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