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夢幻水滸伝

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第百四十話 波高しその七

「就職は」
「そちらは合衆国で」
「そう考えてるか」
「オクラホマかルイジアナで」
「ルイジアナでかいな」
「実はニューオーリンズに親戚がいまして」
 ルイジアナ州の中心都市の一つである、ジャズでも有名なミシシッピ川河口の大都市であり川と海の水運に恵まれている。
「そこで、です」
「暮らすつもりかいな」
「そうも考えています」
「オクラホマか」
「肉体労働を考えていますが」
 フォークナーは起きた時も恵まれた体格を持っている、スタインベックと同程度である。その体格を活かしてというのだ。
「その傍らレスラーにもです」
「なりたいか」
「そうも考えています」
「やっぱりプロレス好きやねんな」
「その気持ちは事実なので」
 心の中に確かに存在しているというのだ。
「ですから」
「そういうことか」
「はい、トレーニングをしつつ」
「レスラーのトレーニングは相当なものやが」
 こう言ったのはガーランドだった。
「それをやな」
「働きつつ行い」
「奥さんとも幸せに過ごして」
「トレーニングも欠かさず」 
 そうしてというのだ。
「そしてです」
「生きてくんやな」
「はい、ただ」
「ただ?」
「どうも私はです」
 自分のことも言うのだった。
「ヒール向きの様です」
「プロレスはか」
「そっちかいな」
「フィアンセにそうしたメイクや衣装が似合うとです」
 その様にというのだ。
「言われていまして」
「それでか」
「プロレスはヒールか」
「そうなるかも知れないです」
「そういえばな」
 ガーランドはフォークナーの今の話に考える顔になって答えた。
「自分の顔は起きた時も今もな」
「ヒール向けですか」
「一見怖いからな」
 だからだというのだ。
「合うって言えばな」
「合いますか」
「ああ」
 こうフォークナーに言うのだった。
「それで人気が出るぜ」
「人気も出ますか」
「ブーイング受けてもな」
「リングにはヒールも必要です」
 フォークナーの返事は落ち着いたものだった。
「ならです」
「ヒールで人気が出てもか」
「ええかと」
 こうガーランドに答えるのだった。
「私は思います」
「それはええな、しかしレスラーは」
 ホイットマンはプロレスラーについてこんなことを言った。
「選手生命長い人多いな」
「ああ、六十過ぎてもやる人おるしな」
 ガーランドは今度はホイットマンに応えた。 
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