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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十五話 小野さんのお話その八

「そこで、です」
「自分がしたことがわかったんですか」
「はい、それで電話で謝罪しましたが」
「お父さんは聞かなかったですね」
「泣いて謝罪したそうですが」
 それでもというのだ。
「無言で電話を切られたそうです」
「そうなったんですね」
「そしてです」
「後は、ですか」
「はい、もうです」 
 それこそというのだ。
「完全に縁が切れて。娘さんは自分がしたことに後悔しましたが」
「お父さんはずっと傷付いていて」
「無視されていました」
「父娘の縁が切れたんですね」
「そうなりました」
「お父さんの心を傷付け過ぎたんですね」
「娘さんも気付きましたが」
 お父さんがいなくなってからというのだ。
「しかしです」
「後悔先に立たずですね」
「はい、覆水盆に返らずともいいます」
 そうもというのだ。
「それで、です」
「お父さんと絶縁になって」
「もう後はです」
「何もですか」
「なくなったのですが、ですが」
「ですがっていいますと」
「娘さんの結婚式の時。もうお母さんは亡くなっていましたが」 
 ここで僕は若しやと思った、思わず声がうわずった。そのうえでお話を聞いた。
「娘さんは何とか式にです」
「お父さんに来て欲しかった」
「そう思ってお父さんのお家に行ってです」
「そのうえで」
「十年振りに再会して何とかお願いして」
「来てもらったんですか」
「そこから和解となりました」
 結婚式を機会にというのだ。
「ですが再会の折中々会おうとせず」
「お父さんはずっと傷付いていたんですね」
「はい、そうなっていて」 
 それでというのだ。
「中々会おうとせず周りに何度も何度も言われて」
「それで、ですか」
「ようやく会いそこで」
「娘さんの謝罪を受けて」
「ここでまた周りが何とかお父さんを説得して」
 そしてというのだ。
「和解となりました」
「実の親子でもそうなりますか」
「あまりに心を傷付ける残酷なことはです」
「そうなんですね」
「まことに心の傷は身体の傷より厄介です」
 小野さんば僕にあらためて話した。
「容易に治らない場合が多く下手をすると一生」
「傷になっていて」
「その人を苛みます」
「そうなりますね」
「軽い気持ち、気付かないでしたことでも」
 例えそうであってもというのだ。
「相手の人をです」
「心を傷付けて」
「苦しめるのです」
「そう思うと教会の娘さんの先輩がしたことは」
「許されないことです」
「やっぱりそうですね」
「はい、決して」
 僕にあらためて話してくれた。
「自分がされたらどうか」
「そう思うと余計にですね」
「してはなりません」
「そうですね、僕もそんなことされたら壊れますから」
 心が折れている時にそうした仕打ちは余計にくる。 
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