八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十五話 小野さんのお話その九
「駄目ですよね」
「左様です、尚言われた人は周りにも高校三年間言われ」
「余計にきついですね」
「天理高校出身ですが天理教とは関わらない」
「そう言われたんですか」
「二度と。そして卒業されたそうです」
「相当傷付いたのがわかりますね」
そのことを聞いただけでだ。
「高校生活で」
「その発端もです」
「その先輩からですか」
「そこまでしては」
「もうどうにもならないですね」
「人の心を傷付けるものではないです」
「本当にそうですね、自分がされても傷付くなら」
もうそれならだ。
「人にもですね」
「してはなりません」
「左様ですね」
「人間としてそれは当然のことです」
「そうですよね」
「若し私の娘がそんなことをすれば」
小野さんはまたこう言った。
「殴り飛ばします」
「そうしますか」
「絶対に許されないことなので」
「そうなんですね」
「ですから義和様も」
「そうしたことは気をつけます」
正直二つの話を聞いて思った、そんなことをすれば相手に恨まれるだけじゃない。後で後悔して反省しても容易には戻らないことだからだ。
「本当に」
「その様にお願いします」
「そうですよね」
「人生はそうしたことも重要です」
まさにというのだ。
「人を傷付けないことも」
「身体も心も」
「そうです、止様はそこもご存知の方で」
「心のことも」
「素晴らしい人であり」
「医師としてもですね」
「素晴らしい方です」
そうなるというのだ。
「実に」
「そうなんですね、僕いつも思うことですが」
その親父の息子としてだ。
「親父って人望あるんですね」
「はい、あります」
「そうですよね、あれだけ無茶苦茶に生きてるのに」
「傾いておられますが」
それでもというのだ。
「大事なものは全て持っておられて」
「人の心のこともわかっている」
「そうした方なので」
「人望もあるんですね」
「左様です」
こう僕に答えてくれた。
「それ故に、あとその破天荒な生活にもです」
「憧れですか」
「人は持つので」
「ああした生活をしてみたい、とですね」
「そうです、型にはまらないですね」
「少なくとも外科手術の腕がありますから」
見事なまでのそれがだ。
「生きていけますが」
「そうでないとですね」
「何か他に技能がないと」
もうそれこそだ。
「只の遊び人ですしね」
「左様ですね、ただ止様は」
「あれで職人ですからね」
自分で俺は人の上には立たないしそんなことには一切興味がないと言っている、そんな器ではないとも言っている。
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