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夢幻水滸伝

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第百三十九話 軍師の読みその四

「何としてもな」
「勝つな」
「これまでの二つの勢力との戦もそやったが」
「アメリカとの戦はか」
「ほんまに考えてな」
 そうしてというのだ。
「策を練ったんや」
「そうしてきたか」
「これなら勝てる、ただ勝つには」
「全力でやな」
「向かうで、そうせなな」
 例え芥川の策の通りに戦が進んでもというのだ。
「勝てんで」
「そういうことやな」
「そやからええな」
「この度はやな」
「そうして向かってくで」
「わかったわ」
 中里は芥川に軍を預かる者として応えた、そうしてだった。
 彼は戦に勝つ為に星の者達に将帥の配置をまさに適材適所で決めた。そうしてからそれぞれの隊にその隊に相応しい装備をさせた。
 そうしてだった、彼はさらに命じた。
「飯を食ってよお寝とくんや」
「今はやね」
「それで充分過ぎる程英気を養ってな」
 綾乃にもこう答えた。
「そしてや」
「戦に備えるんやね」
「腹が減っては戦は出来んし」
 それにというのだ。
「寝てる兵の方がな」
「戦えるね」
「そやからな」
「今は充分に休む」
「そや、しかも飯は」
 食べるそれはというと。
「野菜に肉もたっぷりとや」
「栄養のあるものやね」
「特に人参とか玉葱、生姜に大蒜や」
「身体にええものをやね」
「食ってもらう、肉も魚も卵な」
 こうしたものもというのだ。
「食ってもらう、お豆腐も牛乳もな」
「ほんまに身体にええのばかり食べて」
「間違っても風邪なんかひかん」
「ほな寝る時も」
「身体を温かくしてな」
 その様にしてというのだ。
「身体を休める」
「ほなお風呂も」
「ゆっくり入ってもらう、とにかく今は英気を充分に養うことや」
「何かお医者さんみたいやね」
「結局軍もな」
「医学が大事やね」
「そやからな、間違っても白米ばかり食べたら」
 その様なことをすればというのだ。
「あかんからな」
「それやったら脚気になるね」
 ここで言ってきたのは玲子だった。
「あたしもそれは知ってるよ」
「ああ、それで実際昔の日本えらいことになったしな」
「脚気がずっとあってだね」
「そや、それでな」
 そのせいでというのだ。
「そうなってるからな」
「白いご飯ばかりは食わないね」
「他のもどんどん食ってもらう」
「そういうことやね」
「というかですね」
 中原もここで言ってきた。
「白米に脚気というと」
「ああ、あの男やな」
「森鴎外ですね」
「あいつが脚気菌あるとか言うてな」
「食事に問題があると認めませんでしたね」
「必死になってな」
「それで陸軍では脚気がずっとありましたね」
「それで日露戦争なんか大変やった」
 日清戦争でもそうであった、脚気患者が多く出て戦争全体に深刻な影響を及ぼしていたのだ。勿論脚気で死んだ者も多かった。 
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