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八条学園騒動記

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第五百六十九話 マウリアから見た連合という国その二

「あまりにも進んでいて」
「別世界なのね」
「まさに幕末の日本の方がです」
「欧州に行った時みたいに」
「衝撃的なものがあります」
 まさにというのだ。
「私も驚きました」
「セーラもなの」
「連合にはじめて来た時は」
「はじめてっていうと」
「はい、五歳の時に来まして」
 そしてというのだ。
「驚いた限りです」
「えっ、五歳の時になの」
「はじめて。旅行で来ました」
「そうだったのね」
「そして一年かけて各国を巡りました」
「凄い旅行ね」
「その一年の間驚くばかりでした」
 こうルビーに話した。
「まことに」
「幼稚園に入る前になの」
「そうです、その前に教育の一環として」
「一年かけてなのね」
「旅行をしまして」
「その時になのね」
「生まれてはじめて連合各国を見て」 
 そしてというのだ、セーラはルビーにあくまでマウリアの者として自分が見た連合を話すのだった。
「何もかもについてです」
「驚いたの」
「その豊かさに」
「それ私達自覚ないけれどね」 
 ルビーはどうかという顔で述べた。
「連合の人間にとっては」
「左様ですね、ですが」
「マウリアの人から見るとなのね」
「実にです」
 連合という国はというのだ。
「素晴らしいです」
「そうなのね、けれどね」
「けれどといいますと」
「この学校で一番お金持ちはね」
 それはというと。
「セーラよ」
「そうなのですね」
「ええ、もうね」
 それこそというのだ。
「間違いないことよ」
「そうですか」
「連合とマウリアの違いはあっても」
 三百年は違うという技術の違いや豊かさのそれがというのだ。
「そういう問題じゃないから」
「それで、ですか」
「そう、そして」 
「私は、ですか」
「文句なしにね、今回の文化祭も全部出してくれたじゃない」
 予算、それをだ。
「とんでもない額を」
「あの、あまりにも少ないと」 
 実はセーラにとっては一テラ位の気持ちだった、連合の庶民が出す一テラ二十一世紀初頭の日本人が出す百円の気分だった。
「私はです」
「思っていたの」
「はい」
 まさにというのだ。
「そう思っていましたが」
「全然よ」
 ルビーは真剣な顔で返した。
「それはです」
「そうですか」
「ええ、シヴァ家のお金持ちふりは」
 それこそというのだ。
「目が出る位よ」
「ですが八条家と比べますと」 
 学園の経営家と、というのだ。 
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