八条学園騒動記
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第五百六十九話 マウリアから見た連合という国その一
マウリアから見た連合という国
セーラはルビーに自分が選んだ店で出す食べ者を差し出しながら話した。
「ご試食に」
「あっ、これいけるわ」
ルビーはパンケーキを食べてから答えた。
「メイプルシロップもね」
「いいものですか」
「これトムが食べたら喜ぶわ」
彼がというのだ。
「絶対にね」
「カナダの味だからですか」
「そう、パンケーキもいいけれど」
それに加えてというのだ。
「メイプルシロップがね」
「いいですか」
「マウリアじゃないわよね、やっぱり」
「はい、シロップよりもです」
「甘いものに使うのは」
「蜂蜜です」
こちらだというのだ。
「パンケーキもメイプルシロップではなく」
「蜂蜜をかけるのね」
「そうして食べます」
そうしているというのだ。
「ですからマウリアですと」
「蜂蜜なのね」
「左様です」
「それもたっぷりかけるのよね」
「パンケーキ全体の色が変わるまで」
「恐ろしい位甘そうね」
ルビーはそのパンケーキの食べ方を聞いて頭の中で想像してそのうえで述べた。
「どうも」
「はい、ですが」
「ですが?」
「そのメイプルシロップの味も進んでいますね」
セーラはルビーに微笑んで述べた。
「そのことがです」
「セーラは嬉しいのね」
「はい、マウリアはまだまだ遅れています」
連合と比べてそうだというのだ。
「よく連合では小国や辺境は遅れているといいますね」
「それは何処でもでしょ」
「はい、ですが連合のその最も遅れている地域よりもです」
「マウリアはっていうの」
「二百年は遅れています」
そこまでだというのだ。
「実は」
「そこまで違うのね」
「エウロパやサハラは三百年はです」
「遅れているのね」
「何もかもが」
「そんなに違うの」
「例えて言うなら江戸時代の日本から当時の欧州に行った」
セーラは幕末の高杉晋作や維新の後の使節団のことを思い浮かべつつ話した。
「そうした感じでしょうか」
「ああ、それ前に来たね」
ルビーはセーラの今の言葉を受けて述べた。
「サハラの、オムダーマンとかティムールの」
「アッディーン大統領とシャイターン主席ですね」
「その人達だったかしら」
ルビーはパンケーキの次はサンドイッチを食べた、そちらも連合の味で実に美味いと思いながら述べた。
「確か」
「お二方も言っておられましたね」
「ええ、もう連合はあまりにも進んでいて」
それでというのだ。
「もうね」
「別世界だと」
「数百年は違うって」
「その通りです」
「そんなに違うのね」
「もう本当にです」
連合は他の国から見ればというのだ。
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