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八条学園騒動記

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第五百六十八話 働き手その十

「そうだったのよ」
「左様ですか」
「ええ、あと揚げる魚介類もね」
 こちらもというのだ。
「種類が違ったし」
「お魚や海老も」
「そう、だから驚いたのよ」
 それでというのだ。
「これが日本の天婦羅なのかって」
「本場のですね」
「そう、驚いたわ」
 こうセーラに話した。
「連合の中でもそうなのよね」
「左様ですね、ですから」
「セーラもなのね」
「紅茶やコーヒーの味は変えました」
 連合の者達に合う様にというのだ。
「そうしました」
「成程ね」
「マウリアは商売の国でもありますし」
「それは有名ね、マウリアといえば」
 まさにとだ、ルビーはまたセーラに答えた。
「昔からね」
「それこそ大昔からですね」
「そうです、商業を営んできました」
「インド商人って有名だしね」
「それは今も同じであって」
 セーラはルビーにさらに話した。
「それで、です」
「商売のことはわかっているのね」
「カーストにもよりますが」
 セーラはこの前置きも述べた、ヒンズー教においてはどうしてもこの階級のことが絶対のことであるからだ。
「商人のカーストにあるなら」
「それならですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「代々受け継がれるものもあり」
「商売がわかっているのね」
「左様です」
 こうルビーに話した。
「当家はクシャトリアですが」
「それでもなのね」
「商売には昔から携わっています」
 家として、というのだ。
「経営者として」
「それこうしたこともわかっているのね」
「左様です、ですから」
「紅茶やコーヒーは連合の味なのね」
「はい、そして」
「そしてっていうと」
「食べものもです」
 喫茶店に出すそれもというのだ。
「連合の味にしました」
「そうなのね」
「郷に入っては郷に従えといいますね」
 セーラはこの言葉も出した。
「左様ですね」
「ああ、それはね」
 実際にとだ、ルビーも答えた。
「私達もこれでもね」
「日本におられるからですね」
「そう、同じ連合の国だけれど日本だから」
 国は違うがというのだ、尚連合での国の違いの意識は江戸時代の日本で言うと藩の違い位のものだ。
「日本の文化や風習にね」
「合わされていますね」
「そうしているわ」
 こうセーラに話した。
「私もね」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
 ルビーはさらに話した。
「セーラも同じってことね」
「先程も言わせて頂きましたが」
「郷に入っては郷に従えね」
「ですから」
「あんたもそうしているのね」
「左様です、ただ色々と至らないですね」
「それはね」
 ルビーはフォローしようと思ったがセーラの日常を見るとそれは無理と思いかつ嘘を吐くのはよくないとも考えてこう答えた。
「どうもね」
「そうですね、難しいですね」
「やっぱりマウリアとは全く違うわよね」
「違う世界にいる様です」
「やっぱりそこまで違うのね」
「はい、ですが楽しい国ですね」
 セーラは微笑んでルビーに述べた、そして自分が見た連合のことを話しはじめた。


働き手   完


                2020・4・16 
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