夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百三十八話 最強の勢力その六
「あくまでね」
「言葉の意味そのままで、ですね」
「技術を進歩させてこそね」
「ダンディズムというのですね」
「そうよ、男女問わずダンディであれ」
ボームはヘミングウェーにポーズをつけつつ話す、そのポーズは確かにダンディズムを意識したものだった。
「それがワテクシの考えでね」
「今もそう言われますね」
「そうよ、欧州もね」
この世界のこの地域もというのだ。
「技術的にも発展しないとね」
「いけないですね」
「そう思うわ」
「それも心から」
「実にね」
「産業革命はわし等の世界では欧州で起こったが」
メルヴィルはまずは自分達の世界のことを話した。
「こっちの世界ではアメリカで起こってな」
「欧州はこの地域で一番技術的に遅れてて」
トウェインはこの世界のことを話した。
「人口も少なくてな」
「未開の地域でな」
「戦も絶えんで」
「何か中世の欧州みたいやな」
「そのままやな」
「それで何かと苦労してるな、あっちの星の連中は」
「統一も遅れてるし」
このことも言うのだった。
「果たしてどうなるか」
「ちょっとわからんな」
「太平洋と地下世界は間違いなく統一に向かっています」
ヘミングウェーは二人に冷静な顔で話した。
「だからこそです」
「わし等も戦ってるしな」
「こうしてな」
「それでな」
「統一には向かってるわ」
このことは間違いないとだ、メルヴィルとトウェインも話した。
「それで戦が終わったら」
「その時はな」
「統一した太平洋と地下世界全体の政や」
「それが待ってるわ」
「そちらの方が大変です」
ヘミングウェーは真面目に述べた。
「戦よりも」
「九十五億の人口に広大な国土にな」
「宗教も民族も文化も種族も雑多や」
「そう考えるとな」
「ほんま大変やな」
「そのことは我々太平洋と地下世界の星の者が力を合わせ」
そうしてというのだ。
「やっていくべきです」
「ほんまにそやな」
「その通りやな」
「今の戦も大変やが」
「むしろほんまに大変なのはその後の政やな」
「そのことも考えていきましょう」
是非にとだ、ヘミングウェーは二人に話した。そうしてだった。ヘミングウェーはアメリカの棟梁二人にこうも言った。
「いい時間になりましたね」
「ああ、十二時やな」
トウェインは壁の時計を見てヘミングウェーに応えた。
「ほんまええ時間やな」
「ではです」
「これから昼飯やな」
「そうです、では食堂に行ってきます」
「ワテクシもね、今日のメニューは何だったかしら」
ボームの口調は実に楽しそうなものだった。
「一体」
「ティーボーンステーキやで」
トウェインはボームに笑顔で答えた。
ページ上へ戻る