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八条学園騒動記

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第五百六十七話 喫茶店の服その十一

「本物じゃないのよ」
「本物はそんなレベルじゃない」
「つまりはね」
「あの、そんなお金持ちって」
 それこそとだ、レミは言った。
「もう簡単にはね」
「なれないわよね」
「そうよ、私達が頑張っても」
 例えそうしてもとだ、レミはウェンディに話した。
「精々どれだけ持ってるか自慢する」
「その程度よね」
「それ位のお金持ちよ」
 そのレベルで留まるというのだ。
「所詮ね」
「私もそう思うわ」
 ウェンディにしろ同じ考えだった。
「流石にね」
「そこまでは、よね」
「至れないわ」
「そうよね」
「お財布はどう想像しても」
「持ってるものよね」
「その考えが離れないから」
 脳裏からというのだ。
「だからね」
「その考えが離れないとね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「本当のお金持ちじゃない」
「そういうことかな」
「それこそ」
「私には絶対に無理ね」
 ウェンディはあらためて言った。
「服も平気で用意してくれたし」
「デザインだけじゃなくて生地もいいから」 
 こう言ったのはレミだった。
「セーラのお金持ちぶりがわかるわ」
「世の中そんなお金持ちもいるってことだね」
「そうね、そのことが今わかったわ」
「全くだよ」
 ベンはしみじみとした口調で述べた、そして。
 その話をしてからだ、三人共それぞれの仕事をした。クラスの者全員が勤勉でこれはいいことだった。
 だがそれでもだ、ベンはテンボとジャッキーにはこう言った。
「二人共間違ってもね」
「何だ?間違ってもって」
「どういうこと?」
「うん、推理は入れないでね」
 こう言うのだった。
「そうしてね」
「それは推理部でしているからな」
「安心してね」
 二人もそれはと言った。
「そっちでやってるから」
「俺達はこちらでは劇ではエキストラに徹してだ」
「喫茶店では奴隷に徹するわね」
「執事とメイドだから」
 奴隷でなくとだ、ベンはジャッキーのその言葉を否定した。
「間違えないでね」
「あれっ、そうだったの」
「何で奴隷になるのか」
 ベンは首を傾げさせつつ言った。
「理解出来ないけれど」
「私そう思っていたけれど」
「勘違いなんだ」
「そうだったの」
「俺は召使い喫茶と思っていたぞ」
 テンボはこちらだった。
「しかし違うんだな」
「召使いでもないから」
 テンボはこのことも否定した。
「本当にね」
「違うんだな」
「奴隷とか召使いとか連合にいないし」 
 そもそもというのだ。
「そうした人達の喫茶店もね」
「ないか」
「聞いたことがないよ」 
 全くという返事だった。
「一度もね」
「そうか、ないか」
「うん、だからね」
「それでか」
「そう、執事とメイドだから」
 正確に言うと違うがベンはテンボとジャッキーにわかりやすい様に話した、二人の頭の構造のことを考えてそうしたのだ。
「間違えないでね」
「じゃあ俺達はそれに徹するな」
「今回はね」
「そうしてね、くれぐれも」
 推理は出さずにというのだ。
「いいね」
「ああ、じゃあな」
「そうさせてもらうわね」
「そうしてくれたら何よりだよ」 
 ベンは二人が納得してくれたのでよしとした、二人はその後は真面目に働いた。用意は順調に進んでいた。


喫茶店の服   完


                 2020・4・9 
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