八条学園騒動記
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第五百六十七話 喫茶店の服その十
「そもそも」
「いきなりぽんとあれだけ出しても」
「それでもなんだ」
「別になの」
「セーラは使ってる気がないんだ」
「そうじゃないの?というかセーラお財布持ってないわね」
ウェンディはこのことも指摘した。
「そもそも」
「あっ、確かに」
「カードすらね」
二人もこのことに気付いた。
「持ってないね」
「そうよね」
「マハラジャっていうとね」
マウリアの藩王、そう呼ばれている者達はというのだ。
「周りに大勢の人がいるでしょ」
「セーラにしろそうだしね」
ベンが答えた。
「いつもラメダスとベッキーが傍にいるし」
「そうよね」
「しかもお家に行くと」
あのタージ=マハールの様な宮殿にというのだ。
「凄い数の使用人の人達がいるね」
「そうした育ちだから」
「お財布もなんだ」
「持たなくてもね」
そうせずとも、というのだ。
「周りが用意してくれるんでしょうね」
「じゃあ今回も」
「多分セーラが一言言って」
「周りの人が出したんだ」
「そうしたと思うわ、セーラのお屋敷のお金を預かってる人達がね」
その人がというのだ。
「私の予想だけれど」
「物凄いお話だね」
「そうよね」
「というかね」
ここでレミはこう言った。
「カードすら出さない」
「もう周りが使いたい分を使いたいだけお家から出す」
「それが本当のお金持ちね」
「そうみたいね」
「凄いわね」
レミはあらためて思った。
「それって」
「そうよね、日本の皇室だってそうでしょ」
「あのお家の人達がカード持ってる筈ないね」
ベンは即座に述べた。
「お財布もね」
「いらないでしょ」
「うん、買うことないから」
何かをというのだ。
「一切」
「そうでしょ」
「というかあの人達お買いものすることも」
「ないわよ」
「そうだね」
「お金とは無縁の生活だから」
ウエンディは言い切った。
「もっと言えば儲ける必要もね」
「ないね」
「そうでしょ」
「そうだね、そもそも」
「皇室の財産はお金じゃ換算出来ないし」
「そういうものを持ってるお家もだね」
「本当の資産家でしょうね」
もう金持ちという言葉すら使わなかった。
「私達からしてみれば想像出来ないけれど」
「ううん、お財布すら持っていない」
「持つ必要がない人こそね」
「本物なんだ」
「もうお金これだけあるとか言って見せびらかすのは」
こうした人達はというと。
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