八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

「これって無茶苦茶だよ」
「悪人の所業ですね」
「人を騙してそれで多くの人が犠牲になって」　
　それでだ。
「関係者は全く責任を取らないでね」
「今も嘘を吹聴しているとなると」
「これは悪人だよ」
　こう言うしかないと確信する。
「それも一番酷い部類のね」
「仏教で言うと餓鬼ですね」
「キリスト教で言うと悪魔だよ」
「それも最も悪質な類のですね」
「外道って言ってもいいよ」　
　悪魔は悪魔でもだ。
「キリスト教の悪魔でもちょっと出来ない所業だよ」
「そういえばですわね」
　円香さんがここで言ってきた。
「キリスト教の悪魔は契約があって」
「契約違反はしないからね」
「契約の抜け道は使っても」
「それでもこんな悪質なことまではしないよね」
「そうですわね」
　僕達のやり取りにキリスト教徒の娘達も批判しなかった、クリスチャンだけあって僕より悪魔のことを知っているからだろうか。
「それは」
「これ完全な契約違反だから」
　悪魔の契約でもだ。
「地上の楽園だって行ってね」
「地獄だったのですから」
「悪魔でも地上の楽園に送ると言ったらね」
　代償に魂を貰ってもだ。
「曲がりなりにもそこに送るよ」
「そうですわね」
「ファウスト博士みたいにね」　
　この人は若さを貰った。
「そうなったから」
「だからですわね」
「悪魔の方が遥かにましだよ」
「この人達に比べて」
「しれっと知らないふりなんか出来ない筈だよ」
　若し羞恥心や良心があればだ。
「沢山の人が犠牲になってるんだから」
「責任がありますわね」
「そう、そしてこのことに関わった人達程」
　マスコミ関係者にしても知識人にしても政治家にしてもだ。
「他人の責任追及にはね」
「必死ですわね」
「だから余計に酷いよ」
「今お話している漫画についても」
「原作者の人もね」
　本当に他人の責任追及には熱心だ。
「けれどね」
「ご自身については」
「原発でも鼻血出たって言ってたけれど」
　東日本大震災の時のことだ、あの時の政府特に当時の総理大臣の対応や所業の酷さは絶対に忘れられない。
「若し原発事故で鼻血出たら」
「大変ですわね」
「もう深刻な状況だから」
　その人の健康状態がだ。
「すぐに診察受けた方がいいよ」
「放射能の浴び過ぎですわね」
「だからね」
　そのことが濃厚だからだ、若し鼻血が放射のせいなら。
「すぐに健康診断受けてね」
「そのうえで事実を確かめてですわね」
「漫画に描くべきだったけれど」
「それをせずにですわね」
「原発事故で放射能を浴びたせいでそうなったとか描いて」
　その漫画でだ。
「大騒ぎになって福島の人も迷惑したけれど」
「あの時元町長が出てきたが」
　井上さんも言ってきた。
「毎朝被爆のせいで鼻血を流していると言っていたな」
「そうなっていたら」
「命の危険がある」
　井上さんは断言した。