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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十一話 元の生活に戻ってその五

「それって」
「そうだね」
 僕も否定しなかった、胡瓜のお漬けものを食べながら応えたけれど納豆ご飯を食べた後なのでお漬けものを摘まむのに納豆の糸で滑って苦労した。
「ネットが普及するまではね」
「問題に気付いた人はいても」
「それが知れ渡らなくてね」
「連載が続いていたの」
「そうだったんだ」
 この漫画にしてもだ。
「それでずっと悪影響をね」
「与え続けていたのね」
「うん、けれどもうね」
「あの漫画まだ連載してる?」
「してないよ、何時の間にかね」
 原発でとんでもないことを描いて発表してだ。
「終わった感じだよ」
「そうなの」
「まあ原作者も大概な人らしくて」
 その原作者の話もした。
「食べもの屋さんで口に合わないと怒鳴り散らす様な人みたいだよ」
「主人公の親子と同じじゃない」
「だからもう登場人物がね」
 他の人の作品にもあることだけれどだ。
「原作者の人間性がね」
「出てるのね」
「創作ってやっぱり作者さんの内面とか出るから」
 このことはどうしてもだ。
「それでね」
「それが出てなのね」
「もうあの漫画の場合あからさまにね」 
 まさにだ。
「出てね」
「それでなのね」
「ああした登場人物ばかりなんだ」
「正直ね」
 美沙さんはお味噌汁を飲みながらどうかというお顔で言った。
「食べものがまずいとか言ってね」
「お店の中で騒ぐってね」
「営業妨害でしょ」
「紛れもなくね」
「あの漫画の主人公それやってるのね」
「取材に行ってね」
「そんなこと今やったら」
 それこそという口調での言葉だった。
「他のお客さんがその場で動画に流すわね」
「そうするよね」
「そうよね」
「それで某新聞社の記者の取材の実態とかね」
「ネットで拡散されるわね」
「絶対にそうなるよ」
 あの主人公みたいなことをしたらだ。
「それでヤクザかゴロツキかってね」
「ネットで大炎上よね」
「けれど昔はね」
 連載がはじまった昭和の頃はだ。
「ああした本当にヤクザ屋さんみたいなのでもね」
「まかり通っていたのね」
「新聞記者とかならね」
「そうだったのね」
「政治家とか官僚がやったらそれで終わりだったけれど」
 料理がまずいとか言ってお店の中で喚いたらだ。
「新聞記者とかね」
「売れっ子の漫画原作者だとよかったのね」
「うん、権力者だったから」
 もうこれに尽きた。
「政治家や官僚以上のね」
「財界の有力者以上の」
「もうね」
 情報を独占して自由に動かすことが出来る、マスコミはこう考えると本当にとんでもない権力者だ。
「そうだったから」
「そんなことも許されて」
「取材された方はね」
「営業妨害されて滅茶苦茶書かれて」
「商売にも影響が出るよ」 
 ひいては生活にもだ。 
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