| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百七十話 神戸に戻ってその五

「もう後は」
「あの方にお任せしていれば」
「いいです」
「そうですね」
「では私としては」
 畑中さんはあらためてお話してくれた。
「もう勝ったとです」
「思われますか」
「はい、ではステーキとカツに」
 畑中さんは上機嫌なままお話してくれた。
「とっておきのワインもです」
「出してくれますか」
「トカイは如何でしょうか」
「あの貴腐ワインですか」
「ハンガリーの」
「それがあるんですか」
「こうした日の為に用意しておいていまして」
 それでというのだ。
「如何でしょうか」
「お願いします」
 ステーキにカツだけじゃない、ワインはトカイと聞いてだ。
 僕はすっかり乗り気になって小野さんにお話した。
「その組み合わせで」
「ステーキにカツにですね」
「ワインで」
 この組み合わせでとだ、僕は小野さんに答えた。
「お願いします」
「それでは、それとデザートですが」
 小野さんはこちらのお話もしてくれた。
「そちらはどうされますか」
「デザートですか」
「はい、そちらは」
「何がありますか」
 僕はすぐにそちらのことも尋ねた。
「それで」
「フルーツの盛り合わせが」
「フルーツですか」
「林檎に葡萄、バナナに洋梨にネーブルと」
「それでお願いします」
 僕の返事は即座だった。
「それじゃあ」
「ではその様に」
「私達もです」
 僕の後は畑中さんが答えた。
「それで」
「宜しいですか」
「お食事もデザートも」
「ワインもですね」
「はい」
 まさにという返事だった。
「トカイとは最高の馳走です」
「左様ですね」
「では」
「はい、それでお願いします」
 奥さんも無言で頷いた、そうしてだった。
 僕達はまずはサラダとお野菜とベーコンのコンソメスープの後でステーキとカツを食べた、もう八条荘の皆は寝ているのか食堂には誰も来ない。
 そしてワインも飲みデザートも食べた、トカイがあまりにも美味しくてボトルを二本も空けたけれどお風呂には入った。 
 湯舟の中で僕は畑中さんに言われた。
「今日はお疲れ様でした」
「まさかですね」
「こうした一日にですね」
「なるとは思いませんでしたが」
「やり遂げたとですね」
「思ってます」
 このことは実際にだ。
「よかったです」
「それは何よりです」
「大きなことでしたね」
「はい、ですから今日は」
「これで、ですね」
「お休み下さい」
「そしてまた明日ですね」
「日々のことにお励み下さい」 
 こう僕に話してくれた。
「そうされて下さい」
「わかりました」
「神戸もそろそろ冬に入りますし」
「そうですね、秋田はもう大雪でしたし」
 一面銀世界だった、その雪も僕達を助けてくれたことを思い出した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧