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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十九話 暴力を使わずにその九

「だからな」
「大丈夫なんだ」
「ああ、だからな」
「親父が行くんだ」
「俺一人でな、だからな」
「僕達はだね」
「ここで待っていてくれ」
 こう僕に言ってきた。
「そうしてくれ」
「それじゃあね」
「すぐに戻って来るな」
 親父は僕に微笑んで話した、そしてだった。
 一人で階段を下りていった、それから。
 着物姿のお袋、何年ぶりに会ったそのお袋を連れて来て戻ってきた。そのうえで僕に笑顔で言ってきた。
「母さんは無事だ」
「お袋・・・・・・」
「義和も一緒なのね」
 お袋は僕を見て微笑んだ、けれど。
 数年前よりずっとやつれていて元気がない感じだ、それで僕は思わず言ってしまった。
「お袋痩せたね」
「ええ、ずっとここに閉じ込められていて」
「外に出られなかったんだ」
「監視の人が付いてたまにという以外出してもらえなかったから」
 だからだというのだ。
「もうね」
「やつれたんだ」
「日の光もあまり浴びれなかったし」
「酷いことするね」
「ええ、けれどね」
 美貌はそのままだった、優しい黒目がちの目に奇麗なカーブを描いた眉に黒く長い髪の毛に細面で気品のある顔立ち、淡いピンクの小さめの唇は健在だ。
 スタイルもだ、ただ本当にやつれた感じがする。
「こうしてね」
「親父が助け出したから」
「今はとても嬉しいわ」
「さて、後はな」
 親父はお袋を肩で支えながら言ってきた。
「すぐにな」
「ここを出るんだね」
「別胴体の人達にはもう連絡したさ」
「メールで」
「ああ、だからな」
「今すぐにだね」
「ここを出るな」
 そうするというのだ。
「いいな」
「それじゃあね」
「それとな」
 親父は僕にさらに言ってきた。
「内応してくれた人もな」
「一緒にだね」
「行くからな」
「幸いその人裏切ってなかったし」
「ああ、後はな」
「その人も一緒にだね」
「門のところで合流することになってる」
 親父は僕にその人のことも話してくれた。
「だからすぐに行くぞ」
「わかったよ」
「ではこれよりです」
 畑中さんも言ってきた。
「このお屋敷を出ましょう」
「それじゃあ」
 僕も頷いた、そしてだった。
 僕達はすぐに屋敷の脱出にかかった、お袋は救出したしもうここに留まる理由は一切ない。それでだ。
 お袋は親父が肩に担いで支えながら僕達は部屋を出てだった。
 もう一目散にこれまで通ってきた道を戻っていった、そして。
 渡り廊下に出たところで別動隊の人達と合流した、そこには畑中さんの奥さんもいて。
 奥さんは親父に笑顔で言った。 
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