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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十九話 暴力を使わずにその十

「よくぞ果たされました」
「はい、本当によかったです」
「左様ですね、では」
「これからですね」
「ここを出ましょう」
「わかってます、ところで皆無事ですね」
「誰も怪我をしていません」
 奥さんは親父に笑顔で答えた。
「この通り」
「こちらもです、ならですね」
「はい、すぐにですね」
「この屋敷を出ましょう」
「ここにいる理由はないですから」
 こう話してだ、そしてだった。
 僕達は全員で雪のお庭を駆けていった、後ろから追手は来なかった。本当にここまでは上手にいっていた。
 それでだ、屋敷の正門のところに着くと。
 小柄な五十位の男の人がいた、その人が僕達を見るとすぐに言ってきた。
「急いで下さい」
「はい、今からですね」
 畑中さんがその人に応えた。
「門を開けて」
「ここを出ましょう」
「それでは」
「私もですね」
「一緒にお逃げ下さい」
 畑中さんはその人にこう言った。
「さもないとです」
「わかっています、これだけのことをしましたから」
「貴方はここに留まっていますと」
「間違いなく消されますね」
「そうなりますので」
「手筈通りですね」
「一緒に来て下さい」
 こうその人にお話した。
「是非」
「宜しくお願いします」
「では」
「これからですね」
「門を開けて下さい」
「はい、それでは」
 その人が傍のボタンを押した、すると。
 門がゆっくりと開いた、そして僕達はその門を潜って。
 屋敷を出た、最後にその人はまた別のボタンを押したみたいだがすると門は閉じられていってそしてだった。
 その人も逃げた、それでだった。
 僕達は傍に停めたままにしていたトラックに乗り込んだ、勿論親父もお袋を連れて中に入った。けれど。
 僕は二人とは別のトラックに乗り込んでいた、けれど畑中さんが一緒にいてくれて僕にこう話してくれた。
「ようやくです」
「親父は本願を果たしたんですね」
「はい、今」
 出発したトラックの中で話してくれた。
「素晴らしいことに」
「そうですよね」
「ただ、です」
「まだ、ですね」
「ことは終わっていません」
「まずは神戸に戻って」 
 僕は畑中さんに応えて述べた。
「そしてですね」
「そうです、そこでようやくです」
「まずは安心出来ますね」
「そこでまずと言われた理由は」
「とりあえずお袋は助け出して」 
 僕は自分が『まずは』といった理由を尋ねた畑中さんに答えた。
「神戸までいけば後は親父がイタリアまで連れて行きますよね」
「はい、それでお母様の実家はです」
「手出し出来ないですね」
「秋田では大きな力を持っていますが」
 それでもというのだ。
「地方財閥だったこともあり」
「秋田の外にはですね」
「殆ど影響力がありません」
「日本の他の都道府県には」
「東北の他の県にもです」
「神戸まで人を送ってお袋を攫ったことはかなりのことだったんですね」
 お袋の実家、考えてみれば僕の母方の親戚の家でもある。その認識は今の時点でも全くないしにしても。 
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