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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十八話 武力と暴力その十二

「その宗派の教義を学び」
「普通はそうなりますね」
「そこから自省し世を知り」
「そこから己を高めるにもですね」
「一の人格が必要です」
 せめてというのだ。
「ところがこれが零ですと」
「教義も備わらないですね」
「逆にその宗派の宗派としての仕組みを批判というか」
「文句を言い出すんですね」
「大事なものを見ず」
「それじゃあ何をしても無駄ですね」
「もうこうした人は何にもなりません」
 まさにどうしようもないというのだ。
「どれだけ素晴らしいものを学ばせても」
「その素晴らしいものが目に入らないですね」
「そして結局はです」
「何もならないですね」
「まことに最低限の人格が必要です」
 人にはというのだ。
「最低限のものがあればそこから成長も出来ますが」
「零だとですね」
「零のまま、酷くなれば」
「マイナスですね」
「そうもなります」
「そうなってはどうしようもないですね」
「まさに。義和様はです」
 僕に言ってきた。
「既にここにおられます」
「お袋を助け出す場所に」
「そして止様も他の方々も素晴らしいものを多く授けられたので」
「最低限のものは備えていますか」
「最低限どころか」
 それどころかというのだ。
「より多くのものを備えておられるので」
「だからですか」
「はい、ご安心下さい」
 こう僕に話してくれた。
「義和様はこれから人としてもです」
「成長出来ますか」
「そうです、そして今日のこともまた」
「成長する一つの機会ですか」
「大きな、ですから」
 それでというのだ。
「最後まで生きて」
「そしてですね」
「神戸にお母様と共に帰りましょう」
「わかりました」
 僕は畑中さんの言葉に頷いた、そしてだった。
 親父そして畑中さん達と共にトラックで目的地に向かった、運命の場所に。


第二百六十八話   完


                 2020・1・15 
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