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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十九話 暴力を使わずにその一

                第二百六十九話  暴力を使わずに
 僕達は秋田県大舘市の外れにあるとんでもなく大きな屋敷の前に来た、その屋敷は吹雪の中にだった。
 御殿の様な姿を見せていた、建物も大きいけれどお庭もかなりの広さだ。正直こんな屋敷はそうそう見たことがない。
 親父はその屋敷を前にして僕に話してきた。
「母さんの実家だよ」
「凄いね」
「わかるな、どれだけの家か」
「うん、秋田に昔から力があるお家だね」
「代々大庄屋でな」
「地方財閥で」
「今もとんでもない力があるんだよ」 
 そうしたお家だというのだ。
「だからな」
「それだけにだね」
「ああ、普通に入ったらな」
「ヤクザ屋さんを用意して」
「抱き込んでる警察も使ってな」 
 公権力もというのだ。
「万全の備えしてくるからな」
「上手にはいかないね」
「けれどな」
「今はだね」
「いきなりここまで来てな」
 そしてというのだ。
「しかもこの吹雪の中だ」
「そうそう用意もしてないね」
「ああ、しかもな」
「しかも?」
「悪いことしてる家だからな」
 ヤクザ屋さんまで使う、裏家業にまで手を出しているのは明らかだ。この辺りが裏つまりアウトローを好まない八条家と違う。
「家の中にもよく思わない人もいるんだよ」
「じゃあ」
「実はその人とも秘かに連絡を取っててな」
 そしてというのだ。
「門はもう開いてるからな」
「それじゃあ」
「ああ、これからな」
「門は開いてな」
 そしてというのだ。
「すぐに屋敷の中に入るぞ」
「わかったよ」
「家の中は詰めている人も少ない」
「まさか僕達が来てるとは思ってないんだ」
「夢にもな」
 それこそというのだ。
「思ってないさ」
「だから詰めている人も少ないんだ」
「ヤクザ屋さんとか用心棒もな、それにな」
「それに?」
「この吹雪だろ、家の内通している人達が憂さ晴らしって言ってな」
 それでというのだ。
「朝から酒振舞ってるんだよ」
「そうまでしてるんだ」
「ああ、それも深酒をな」
「用意周到だね」
「しかも家の家長や一族の主な面々は今あの屋敷にいない」
「それはどうしてかな」
「仕事で八森の方に行ってるんだ」
 秋田の北のそこにというのだ。
「政治家の誰かと話してるらしいな、それもじっくりと」
「それでなんだ」
「しかも行ってる最中にこの吹雪だ」
「戻れないんだね」
「こっちはそうした情報を全部仕入れてな」
 そしてとだ、親父は話してくれた。
「そしてな」
「急襲仕掛けるから」
「上手いく様にな」
「してるんだ、ただ」
 ここでだ、僕は懸念することがあって親父にそのことを話した。 
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