八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百六十八話 武力と暴力その九
「帰ります、それも生きて」
「生きて、ですか」
「そうです、尚私もです」
畑中さんは僕にご自身のことも話してくれた。
「このタキシードの下にです」
「着られていますか」
「防弾チョッキを」
「そうですか」
「そしてヘルメットもです」
これもというのだ。
「被ります」
「ヘルメットもですか」
「はい、頭をガードする為に」
まさにその為にというのだ。
「そちらもです」
「そうですか」
「頭も大事ですから」
「そうですね、頭をやられたら」
もう言うまでもないことだ。
「終わりですから」
「だからです」
「ヘルメットもですか」
「全員着用します、そして義和様も」
「僕もですね」
「防弾チョッキもあります」
こちらもというのだ。
「銃撃だけでなく斬撃や打撃にも強いので」
「刀とかで切られてもですか」
「安心して下さい」
「じゃあ着ておきます」
「そしてヘルメットもです」
「わかりました、生きる為にも」
「赤穂浪士も用心していました」
あの有名な人達ももというのだ。
「服の下に鎖帷子を着ていました」
「それで用心していましたね」
「新選組も着られる時はです」
「着てですね」
「そして戦っていましたし」
「用心するに越したことはないですね」
「用心こそが勝利の第一歩です」
畑中さんはこうも話してくれた、お話してくれるその言葉にはいつも以上の説得力が感じられた。強いお言葉だった。
「ですから」
「僕達もですね」
「備えをして」
「これからですね」
「お母様を助けましょう」
是非にと言うのだった。
「これより」
「わかりました」
「尚私は銃も真剣も使いません」
「あの木刀ですね」
「あの木刀は恐ろしい武器です」
「十一キロありますしね」
「若し人の頭を叩けば」
その十一キロの木刀でというのだ。
「相手は間違いなくです」
「そうなりますよね」
「本来は稽古のもので」
毎朝の素振りのだ。
「人を攻撃する為に使わないですが」
「今回はですね」
「違います」
どうしてもというのだ。
「ですから」
「この度は」
「はい、使います」
覚悟、それがある言葉だった。
「そしてです」
「お袋を助け出してくれますか」
「そのお力の一部に」
それにというのだ。
「及ばずながら」
「すいません、まさかです」
「お母様がおられるとは」
「秋田にとか」
とてもだ。
ページ上へ戻る